インターネット上にウェブではなくアプリというソフトウェアが誕生して10年を超える。その草創期から株式会社ヤプリはアプリに関わってきた。

その創業のきっかけは、ヤプリの創業者である庵原保文氏(現ヤプリCEO)が創業メンバーとともに、アプリの可能性を確信し、個別に単体のアプリを開発するのではなく、手軽に開発できるプラットフォームによる展開をめざしたことに始まる。そのなかで、ウェブでは実現できない挙動、スマートフォンやタブレット端末などでこそ表現できるアプリ独自の体験を求めて開発を進めてきた。

その事業にCFO(最高財務責任者)として2017年から携わっているのが、角田耕一氏だ。

EC市場の急拡大を追い風に

現在、アプリの市場は多方面に大きく拡大している。2016年におけるアプリ市場規模は1兆3,000億ドルであったが、アプリ市場の現状から2021年にはアプリの市場規模が6兆3,000億ドルになると予測されている(App Annie予測)。その中身を、角田氏は「非ゲームのアプリ、たとえば、マーケティング領域での活用で進化していますね。EC市場が急拡大するなかで、アパレルや家電販売店のアプリによるECの展開、飲食店などをはじめ様々な企業の販促や集客などに活用されています」と語る(以下、発言は同氏)。

EC市場とは、インターネット上での電子的な情報通信によって、商品やサービスを売買したり分配したりする市場。そのなかで、ウェブではなく、アプリを起点とした各企業の販促や集客、消費者コミュニケーションやエンゲージメント(つながりの強さ)の確立に活用されている。

そして、マーケティング以外のビジネス領域での市場も急拡大している。社内報、社内SNS、営業カタログなどと、ビジネス分野での活用である。

もちろん、Fin tech分野でも活用が広まる。いまや大手行、地方金融機関に限らず、残高照会からオンラインバンキングなどもアプリを通して行えるようになってきた。

また、ヤプリでは、料理研究家などの著名人の独自アプリを開発・運用し料理情報などを展開するようになってきている。

「当社では、このようなIAP(In App Purchase、アプリ内課金)の機能などをはじめ、多岐にわたる機能を提供するアプリ開発のプラットフォームを提供してきました。そして、最近では当社の開発したアプリは、アップルストアのデモ機に搭載されたり、AppStoreのToday“今日のAPP”で紹介いただいたりするようになっています」

クライアントとともにある機能開発

アプリ市場は10年以上の歴史があるといっても、同社がその急成長の恩恵を受けだしたのはここ2~3年のこと。現在は、多種多様な業種で、全体で約280社のアプリ開発・運営に関わってきた。

では、これらアプリの提案は、まずヤプリ側から始まるのか。それとも、クライアント側のニーズを受けて始まるのだろうか。

「当然一部の機能は『このようなものが面白いのではないか』という当社側の提案に依るところもありましたが、いまはアプリが市場に浸透し、クライアント側におけるアプリのリテラシーが高まったこともあり、顧客にからのニーズに依るものも多い。またそのように顧客ニーズに寄り添ってプロダクト開発できるのが、B2B SaaSビジネスの強みだ」という。

「当社が提供した機能をクライアント側が当社の意図しない用途に活用することもあります。いまは、相乗効果によって、互いに顕在化していないニーズを探り、発見することも多いですね」。

同社はアプリ開発の対象顧客は、そのプラットフォームを提供していることもあり、法人顧客が多い。そのため、アプリの開発や活用でも、クライアントの経済合理性で成り立つ。すなわち、それがクライアントの売上や利益にどうつながるか、ベネフィットがあるかどうかを前提に、アプリの開発や活用に取り組んでいる。

アプリを搭載したスマートフォンは、もっとも身近なIoT

アプリを搭載したスマートフォンは、身近なIoTとして活用の幅が広がった

最近はアパレルや飲食店などの店舗と顧客のコミュニケーションも、FacebookやInstagramなどのSNSからアプリへのシフトも顕著になってきているようだ。学生はもちろんのこと、若手ビジネスマンもインターネットの活用は、「PCかつウェブで」というより、「スマ―トフォン、タブレット端末かつアプリで」になってきた。

「顧客とのエンゲージメントを実現するには、アプリはウェブではできない体験を提供しているといえます。例えばIoTという文脈でも、結局デバイスはアプリとスマホ経由で操作されたりします。つまりスマートフォンは今日、もっとも身近なIoTということができるかと思います」

アプリを搭載したスマートフォン、タブレット端末は、もっとも身近なIoTとして、活用の幅が一挙に広がってきた。