産業用ドローンの研究開発や、ブロックチェーンの開発・運用などを行うスタートアップ企業A.L.I.Technologies(東京都港区)が、2019年3月にホバーバイク「Speeder」の有人公開飛行試験を実施した。今回のテストを皮切りに、2022年の国内量産体制に向けて、技術開発や採算体制の確立を進めている。

A.L.I.は、外資系投資銀行やヘッジファンドでトレーディング業務に従事していた小松周平氏が2017年2月に代表取締役に就任し、産業用ドローンやブロックチェーン、ホバーバイクなどの開発に本格的に乗り出した。高度な技術力が必要で収益化の難しい事業に進出しているにも関わらず、2018年12月期の純利益は7600万円と黒字化に成功している。資本金は2019年1月の時点で4億5500万円。ハイテクノロジーベンチャーにつきものの大規模な資金調達は実施していない。

ビジネス展開の難しい分野で成功している理由と、今後の展開について代表取締役社長の片野大輔氏に聞いた。


2020年にホバーバイクの限定版を販売開始


ーホバーバイクの開発・販売という世界的にも珍しい事業に進出した理由は?

ホバーバイクというと一見荒唐無稽な印象を受けますが、実は社会的意義が大変高いものです。例えば、水害が発生したとき。ホバーバイクは、人命救助や現状把握が迅速に行えます。水陸両用なので、水上バイクやボートと比較したときの有用性は極めて高い。

また、河川や湖、砂漠などで分断された場所でも、スムーズに移動することができます。交通や物流を活発化することができるのです。レジャーやスポーツ分野での新しい産業の確立や、地方の活性化に繋がる未来もあります。

こうした社会的価値の高さと、ビジネスチャンスが十分にあると考え、本格的な事業化を進めました。

ー収益化の難しいビジネス領域で早期の黒字化に成功している要因は何ですか?

元代表の小松周平は投資銀行出身で、私はコンサルティング会社出身です。私たちは、様々な企業の資金調達業務やアドバイザリー、経営戦略から実行までの経験を持っており、企業が抱えている課題を俯瞰的に把握していました。

小回りがきくスタートアップの最先端技術を活用することで、大企業が自力では解決しにくい悩みを、解消することができます。そこが早期収益化のポイントになっていると考えています。

例えば、ドローン事業。ドローンを消費者向けのサービスとして展開すると、生産ラインやカスタマーサポートの構築など、大規模な投資が必要になります。マーケティングも難しく、収益化するのは難しい。しかし、B to Bに目を向けるとビジネスの見え方は変わってきます。

ドローンの事業実績として、火力発電ボイラーの点検というものがあります。

従来は、発電所の稼働を長期間止めて点検をしなければならず、大きな経済損失に繋がっていました。これまでの点検方法を、ドローンが行うことで稼働を止めずに済むようになっています。このほかにも、線路や架線、車両などの鉄道インフラの点検オペレーションなども実施しています。

現在、ドローン事業は売上の40%ほどを占めています。