飲食店の集客支援や業務効率化サービスを提供するスタートアップ企業「favy(以下:ファビー)」が、採用情報のマイナビから10億円の資金調達を実施しました。ファビーはグルメメディアの運営でスタートした会社。調達した資金で、飲食店向けの顧客管理ツールと食材・備品提供システム「favy store」の開発に注力します。同社がメディアを半ば捨ててシステム開発を急ぐのは、メディアの集客力が伸び悩んでいるため。マイナビが出資をしたのは、飲食店に採用情報だけでなく、集客ツールの提案をしたいから。利害が一致しての資本業務提携となりました。ぐるなびと提携した楽天、食べログとKDDIなど、飲食店を取り巻く会社の提携・M&Aは今後も活発化しそう。なぜなら、飲食店はIT化が遅れているフロンティアの一つだからです、という話です。

この記事では以下の情報が得られます。

  • ①カネになりそうな飲食業界のITセグメント
  • ②ファビー、マイナビが提携した狙い

                                                                                               

夢追い人の飲食店オーナーと現実主義者のマネージャーがIT化を阻む?

ファビーの顧客管理ツール
ファビーの顧客管理ツール

2社の提携は、IT化が進まない飲食業界を知ることが重要です。まずその説明を行った後、ファビーとマイナビが提携した狙いを解説します。

飲食業界は勤務時間が長く、一人当たりの業務負担が大きいブラックなイメージが付きまとっています。各社人材獲得に苦労しています。それにも関わらず、業務を効率化するIT化は驚くほど進んでいません。経済産業省のアンケートによると、会計などの基幹システムを活用している飲食企業の割合は11.6%。その他の業界と比較すると最低の水準です。

なぜIT化が進まないのか。一番の原因は、業務効率化や労働生産性の向上に目が向かないことです。飲食店オーナーは、もともと店舗や業態開発が好きなタイプ。生産性を上げるための投資よりも、新たな出店費用に充てたいと考えがちです。一方、現場の管理を任されたマネージャーは、月間の売上をいかに維持するかに苦心します。目先の数字に追われて、現場をデジタル化して効率的に動かそうという考えが働きにくいのです。

飲食業界の3年以内の離職率は50%以上。他の業界と比べて高い数字です。生産性が上がらずに長時間労働になり、辞めてしまうという負のスパイラルに陥っています。

数々の会社がそこに商機を見出したのです。予約台帳サービスを提供するトレタが飲食IT化のカオスマップを発表しています。凄まじい数の会社が集まる様は、カネの匂いに吸い寄せられた魑魅魍魎に見えないこともありません。

IT化できる領域は多岐にわたっています。

  • ・集客メディア
  • ・予約台帳
  • ・CRM
  • ・オーダーシステム
  • ・決済
  • ・ウェイティングシステム
  • ・POSレジシステム
  • ・売上管理
  • ・勤怠/給与管理
  • ・会計
  • ・人材
  • ・仕入れ/流通

これらは大きく2つに分けられます。集客と効率です。集客はメディアとCRM、その他は生産性を上げるためのツールです。ここがポイントです。