第3部 M&A体験談「M&A活用による成長戦略・課題解決」

休憩をはさみ、続いて6度のM&Aを経験しているという、土木管理総合試験所<6171>の社長・下平雄二さんが登壇。土木管理総合試験所は1985年創業、長野と東京に本社を構える建設コンサルタント会社です。

同社の最初のM&A20年近く前のことだそう。世間的にはバブル崩壊後の不景気となりますが、長野冬季五輪の五輪需要で右肩上がりで成長し続けた同社は、1994年、95年ごろに県外へ事業を拡大したいと考えます。そこで、同社の空白エリアで事業を展開する同業を買収。その後、3年に一度のペースでM&Aを実施してきたそうです。

土木管理総合試験所の下平雄二社長

6度のM&A経験を通して、下平さんが買い手として売り手を探す際に重要視した条件を教えてくれました。


<譲渡側に対して重要視した条件>
企業規模身の丈に合った、自分たちで管理できる会社を選ぶ
財務内容すっきりしている会社が魅力的
ブランド力自社の空白エリア・業界で実績があるのは魅力的
技術力自社にない分野の技術力があると仕事の幅が広がり、ワンストップでできることが増える
キーマンの存在社長が抜けた後、社員の中にキーマンがいると経営が上手くまわる
活気がある現場の雰囲気を肌で感じる。雰囲気がいいと思った会社にはこちらからアプローチすることも可能

また、譲渡企業オーナーの心は常に揺れ動いているとも。交渉時に注意すべきポイントも教えてくれました。

<交渉中に気をつけるポイント>
・Point1 交渉ごとである
・Point2 相手の気持ちを理解する
・Point3 時間を急がない
・Point4 譲受側もオープンに
・Point5 最後の調印まで気を抜かない

実際に、下平さんも、タイミングが合わなかったり、調印当日にドタキャンされたりと上手くいかなかったケースもあったといいます。特にM&Aは「絶対」ということがない、交渉ごとであるということは、肝に銘じておきたいものです。

「M&A後には融和が大切だ」という下平さん。トップ自らが率先して陣頭指揮をとり、譲り受けた会社への対応がきちんとできるか否かがM&A成功の鍵を握るといいます。

M&A交渉時は譲渡企業のオーナーと、そしてM&A後はその会社の社員と向き合っていく。M&Aは人ありきの交渉なのだと改めて実感させられました。