第2部 M&A講演「成長を加速するM&Aの活用法と事例紹介」

続いてストライク<6196>社長の荒井邦彦さんによる講演へ。まずは、M&Aの件数が増えている現状とその背景を解説してくれました。

株式会社ストライクの荒井邦彦代表取締役社長

バブル期の1989年に年間600件ほどだった日本企業によるM&Aは、2017年には年間3000件を超え、史上最高を記録。

その背景には、一つに「資金調達環境がよくなってきていること」が挙げられるといいます。現状、無借金の上場企業の割合はなんと6割以上。これは非上場企業でも似たような状況で、企業の成長投資の機会が減っている中、金融緩和も追い風となり、成長戦略としてM&Aに潤沢な資金が流れているのだそうです。

そして、2つ目の背景に「後継者不在の中小企業が増えていること」だと荒井さんは説明します。帝国データバンク調べによると、後継者が決まっている会社は全体のわずか3分の1。20年前は中小企業は家族や親族が継ぐのが当たり前でしたが、今はそうはいかないようで、社員あるいは外部の人間に託すことが増えているとのこと。つまり、事業承継としてM&Aを選択する中小企業が増加しているのが現状なのです。

さらに、今回のセミナーのテーマでもある「M&Aを活用した成長戦略」の視点から、「閉塞感を打ち破るため」「新規事業参入のため」といった買い手の立場から目的別にM&Aの事例を紹介。「M&Aは単発で終わりではなく、繰り返していくことで成長戦略になる」との荒井さんの言葉が心に残りました。

現在、ストライクで扱っている案件だけでも、売り手およそ200社に対して、買い手は7000社以上。「いい条件で、いい会社に買って欲しい」というのが売り手の本音です。そんな売り手市場の中で、荒井さんが考える「買い手として大事にすべきポイント」はこちら。

<買い手として大事にすべきポイント>
・希望条件を狭くしすぎない
・小さく始めて大きく育てる
・買収してからが本番と心得る
・買収しないリスクも考える

中でも印象的だったのが「小さく始めて大きく育てる」ということ。特に初めてのM&Aでは大事なことだそう。一発逆転的なM&Aは自社も共倒れしてしまうリスクがあります。「M&Aの本質はリスクの移転」という荒井さんの言葉に、MAOは思わず「M&Aってやっぱり深い……」と唸ってしまいました。

講演最後には、成長実現のために譲渡する企業のケースも紹介。買い手にしろ、売り手にしろ、共通していたのはM&Aの目的が明確であること。これも成功するM&Aのポイントの一つなのかもしれません。