金額非公表ながら、注目される売却案件が目についた。東急不動産ホールディングスは完全子会社で生活雑貨大手の東急ハンズ(東京都新宿区)を、ホームセンター最大手のカインズ(埼玉県本庄市)に売却することを決めた。新型コロナ禍の影響で2年連続の最終赤字に陥るなど厳しい環境にあり、グループ内の経営資源による事業再構築では限界があると判断した。売却予定は2022年3月末。
東急ハンズは1976年に創業...
2021年のM&A(合併・買収)は低金利環境や株高を背景に記録的な規模に膨らんだ。ディールロジックによると、21年の世界のM&A総額は初めて5兆ドルを超え、07年の最高記録(4兆5500億ドル)を大幅に更新した。
2021年第2四半期(4-6月)のTOB(株式公開買い付け)件数は14件で、前年同期比55.5%(5件)増。一方、買付総額は2960億9400万円で同84.8%減と大幅に減少しているが、これは前第2四半期に大型案件があった反動減による。
2021年5月のM&A件数は前年同月比2件減の68件となり、1月以来4カ月ぶりに前年を下回った。国内案件は堅調に推移したものの、海外案件が7件と前年(13件)に比べて半減した。取引金額は総額2818億円と前年の1391億円から倍増した。
2021年1月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月を21件下回る53件となり、2016年以来5年ぶりに減少した。新型コロナウイルス感染拡大の第3波で年明けに緊急事態宣言が再度発令され、M&A取引にも影響が及んだ可能性がある。