ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

【ライオン】 M&A絡め 、「国内の質的成長」と「海外の量的成長」に挑む

alt
本社ビル(東京都墨田区)

3社の化学品事業を統合

 「V-2計画」が始動した2015年、まず取り組んだのがグループ内に分散する化学品事業の統合だった。ライオン本体の化学品事業(売り上げ規模約137億円)を切り出したうえで、グループの一方社油脂工業、ライオン・スペシャリティ・ケミカル(LSC)と一体化し、新会社「ライオン・スペシャリティ・ケミカル(新LSC)」(東京都墨田区)を発足させた。

 ライオンは一方社油脂工業に対し、1974年に資本参加し、グループに収めていたが、2010年に完全子会社化。また、2014年にオランダの化学メーカー、アクゾノーベルとの合弁会社ライオン・アクゾの完全子会社化(社名変更により旧LSC)に踏み切った。グループ内の化学品事業の再編を周到に進めてきた形だ。新LSCは油脂活性剤、導電性カーボン、建築用薬剤(地盤改良剤)などを主力とし、産業用品事業の牽引役を担う。

薬品は停滞脱し、上昇に転じる

 薬品を新たな収益の柱にする―。こうした意気込みで、中外製薬から一般用医薬品(OTC)事業を取得したのは2004年のこと。ライオンはもともと日用品大手の中で唯一、解熱鎮痛剤、目薬などのOTCを取り扱っていたが、ここにドリンク剤、胃腸薬、殺虫剤などが加わった。

 さらに、2007年には米国ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)から、「バファリン」の商品名で知られる解熱性鎮痛剤の日本とアジア・オセアニア地域(中国を除く)における商標権を約300億円で取得した。ライオンにとっては過去最大のM&A案件となった。これに伴い、BMSとの合弁会社を解散した。ライオンは1962年、日本で「バファリン」の販売を始め、1980年には合弁会社を設立し、事業拡大を進めてきた。

 現在、薬品の売り上げは409億円(2016年12月期)。消費減退などによるOTC市場の縮小で足踏みが続いた時期があったが、2013年12月期(367億円)を底に上昇に転じている。

アジアの8カ国・地域で事業展開

 海外事業はどうか。1950年代からアジアに進出し、マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシア、韓国、中国、香港、台湾の8カ国・地域で日用品を中心に事業を手がける。グローバルブランドである「システマ」の歯磨き・歯ブラシはすべての進出先で展開している。現地の有力企業と合弁会社を設立し、事業を展開することを基本スタンスとする。

 マレーシアでは2015年、現地企業と合弁で運営するサザンライオン(ジョホール州)を連結子会社化した。経営の意思決定の迅速化が狙いで、持分法適用関連会社の扱いから一歩踏み込んだ。この時点でサザンライオンの売上高は約131億円と、東南アジアでの稼ぎ頭でもある。

 2017年9月には、韓国のCJライオン(仁川市)を年内に完全子会社化し、併せて商号を「ライオンコリア」に変更することを発表した。韓国市場でのライオン・ブランドの定着を踏まえたもので、今後の事業拡大に弾みをつける。ライオンは2004年、韓国CJ社から日用品事業を買収し、以来、CJライオンを合弁で運営していた。

 日用品以外でも攻めの姿勢を鮮明にしている。今年6月にはシンガポールの大手アグリビジネス会社ウイルマー・インターナショナルと折半出資で、植物由来の界面活性剤「MES」事業を共同運営する合弁会社を設立することで合意。ライオンはマレーシアで洗剤原料となるMESの製造販売を手がけているが、新会社との連携で一層の事業拡大を目指す。

NEXT STORY

【三和ホールディングス】M&A駆使し、世界的建材メーカーに変ぼう

【三和ホールディングス】M&A駆使し、世界的建材メーカーに変ぼう

2017/11/23

​三和ホールディングスは、三和シヤッター工業を中核会社とし、シャッター、ドアで国内トップシェアを持つ建材大手。その活動の舞台は北米、欧州、アジアへと急速に広がり、海外売上高比率は45%に達する。業界屈指のグローバル企業に押し上げる原動力となったのが巧みなM&A戦略だった。