弁護士&公認会計士。法務と財務の頂点にある双方の資格を持つスペシャリスト中のスペシャリストといえるが、数が限られ、その存在は案外知られていない。両資格の持ち主だけで構成する法律事務所として2018年に発足したのが「弁護士法人 L&A」(東京・虎ノ門)。代表の横張清威さん(弁護士・公認会計士)に事務所の強みや今後の展開などを聞いた。

大部分が初めに会計士の資格取得

ー事務所のネーミングに、思いがそのまま表れていますね。

L&AのLはLaw(法律)、AはAccounting(会計)を意味する。2年前に、弁護士と公認会計士の両資格を持つことをメンバーの条件として立ち上げた。こうした前提で結集する法律事務所は稀有だったので、ぜひやってみたかった。経済活動の多くの過程では、法務の問題と財務の問題が頻繁に生じるので、これらを一括して同時に解決することができれば、意義が大きいと考えた。

ー現在の陣容は。

私を含めて弁護士は2人。そして補助業務に携わるパラリーガルが2人。例えば、M&Aの案件も、月に1件ほどの依頼があり、現有の体制からすれば、多い方だと思う。目下、弁護士を増やそうと、必死で採用活動しているところだが、公認会計士の資格という条件を満たす弁護士はそんなにいないのが実情だ。

ー弁護士の資格が先ですか、それとも公認会計士ですか。

初めに公認会計士という人が8~9割と圧倒的に多い。弁護士が先で、後から公認会計士になるのは1~2割ではないか。私の場合、弁護士が先で後から会計士の資格をとったが、両方で働いた経験があるので、その理由は分かるような気がする。

会計士になると、監査法人に勤務するのが一つのパターン。ところが、3年ほどすると、かなりの人数が飛び出し、一般企業に移ったり、独立・開業したりする。会計士の仕事は部屋にこもって数字を分析するのがメーンのところがあり、やや単調という面が作用しているのかもしれない。そうした際の選択肢の一つとして、弁護士の資格を目指す人たちがいる。

現在、二つの資格をダブルで持つ弁護士・会計士は全国で100~200人とされている。両資格の保有者は毎年5~6人ほど誕生していると聞くが、そのほとんどは会計士から弁護士へという流れになっている。

M&A時、財務系資料が3分の2を占める

ー法務・財務の専門性が同時に求められる分野の一つがM&Aです。

M&Aに際し、買収対象企業にどのような問題が潜んでいるのか、買い手は法務・財務の両面から詳しい調査(デューデリジェンス、DD)を行う必要がある。法律事務所に法務DDを、監査法人や会計事務所に財務DDを依頼するのが一般的だが、対象企業から提出される膨大な資料のうち3分の2は財務系のもので、規程や契約書、知的財産権、許認可といった法務系は3分の1ほど。

弁護士の自分は、DD全体の3分の1しか見ていないわけで、それでいいのかなという思いがあった。実際、財務系の資料の中にも法務系の重要な情報がたくさん含まれている。

ところが、多くの弁護士は財務系の資料を十分に読みこなせないし、会計士も法務系の資料となると同様。法律事務所はあくまで法務系を担当するが、財務系を含めて両面を理解したうえであれば、より的確な判断やアドバイスが行える。私の場合、レアケースだが、弁護士から会計士という流れとなった。

法務の立場だけど、財務の話ができるのが我々の強み。法務、財務とも専門性が求められるが、その間で通訳的な役割を果たせる。M&A案件のサイズが大きくなればなるほど、持ち味を発揮できると思っている。