M&Aは、M&Aを活用した戦略策定フェーズ(M&A戦略フェーズ)、対象企業の買収是非の見極めや買収価格の交渉を行うフェーズ(ディールフェーズ)、買収後の統合活動フェーズ(PMIフェーズ)の3つに分けられることが多い。

派遣人材を勘や好みで判断していないか

M&Aの成功には、どのフェーズも重要なことに変わりはないが、本連載ではPMIフェーズ、もしくは買収後時間がたった後の状況で、“M&Aの成約”から“M&Aの成功”に導くポイントをお伝えしていく。言い換えれば、ポストM&Aの成功確度を上げるためのノウハウである。中でも、知っていれば、すぐに意識できるtips(コツ)をお伝えしていきたい。

第1回のテーマは、「子会社に送る経営人材」。2017年10月に開かれた「M&A Management Forum 2017」で行われたアンケートによれば、「M&A後の企業統合活動における課題は何か?」という問いに対して、1位が「子会社を経営する人材の育成・補強」だった。私が支援するクライアントの中でも、子会社の経営人材の不足に関して問題意識を抱えている企業は多い。

ここで自分事として考えてみてほしい。過去、買収した企業に送る経営人材をどのように選定しただろうか?  あるいは、これから買収を検討されているならば、その対象企業に経営人材として誰を送るか、どのように考えるだろうか?

おそらく、読者の中には、まず妥当そうな社内メンバーが何人か頭に浮かび、そのリストから、対象企業と合いそうな人材を選定する方もいたのではないか。

たとえば、買収した海外子会社に送る経営人材を選定する場合、まず既存の海外子会社の社長経験がある社員をリストにして、年齢や対象会社の経営陣との相性などから絞り込み、最終的には役員の“勘”や“好み”で判断するといった具合だ。

「人ありき」より「課題ありき」が重要

もちろん、それでM&Aが成功するなら問題はないだろう。しかし、M&Aの成功確度を上げる余地はまだある。

重要なポイントは、“人ありき”で経営人材を選定するのではなく、“課題ありき”で経営人材を選定することだ。“人ありき”で社長を誰にするかを議論して選定すると、その経営ポストに必要なスキルやマインドを持ち合わせていない可能性が高い。子会社に送る経営人材は経歴がピカピカでなくてもよい。ただ、当該課題を解決できるスキルとマインドを持ち合わせていればよいのだ。