子育て世代・介護世代のために、楽しく家事の効率を高めるアプリを開発するスタートアップ・株式会社たぬーきす。同社の創業は2018年2月で、ようやく2期目に入った。同社はCEO(Chief Executive Officer)が吉田寛氏、CSO(Chief Strategy Officer)が山形俊郎氏の“2枚看板”で起業した。

「私と山形とは中1(開成中学)の同級生、12歳からの付き合いです。山形は在タイ日系貿易会社にて輸出入業務に従事し、私はニコンでデジタル一眼レフの機械設計を担当していました。山形は将来にわたってビジョンも共有できる存在で、彼のジョインは私のほうから持ちかけました」(吉田寛氏)。

現在は2人のほか、外部の制作スタッフと協同して事業を進めている。

サイドプロジェクトに感じたニーズ

吉田氏はニコンでデジタル一眼の機械設計を担当していた当時、仕様書の作成や部品設計、開発用ソフトの設計開発、コストダウン検討、機能検証、事故対応、タイでの生産立上げなど幅広く業務を担当し、充実した毎日を送っていた。その一方、ケーブルリールの製作に関するサイドプロジェクトをしていた。

「どの家電とつながっているかがわかり、しかも踏んだらリールが片づくもの」だったのだが、試作品ができるとハード以上にソフトウェア面のウケがよく、また、自分自身も「そこ」のニーズがあることを感じた。「そこ」というのは「家庭において計測しにくいことを計測たり、可視化したりすることで利便性を高めたい」ということだ。

それが吉田氏にとっての、創業の直接的なきっかけである。だが、吉田氏の実家は代々続く呉服店を営み、彼が事業を継ぐと5代目となる。

「ただ、ご多分に漏れず家業は厳しくなっていたので、そのまま継ぐという選択肢はなく、着物に代わるものを手がけなければならないという気持ちが強くなっていきました」

そう語る吉田氏の事業に関する選択肢は、①審美性があること、②100万人規模以上の多くの人が使っていること、③新規のビジネスであること、の3点だ。その観点から最初はデジタル一眼の設計に取り組んだが、やがて同様の観点から起業を選択したことになる。