ロボットにとって、形の不ぞろいな揚げ物や、反射しやすい透明な容器などをつかむのは難しい。これをAI(人工知能)で解決しようとしているのが半導体関連の技術商社であるイノテック<9880>。米国サンフランシスコのAIスタートアップ企業オサロに投資し、同社の技術を日本に持ち込みこうした難問に挑戦している。

オサロにどのように投資したのか。導入した技術をどのように展開するのか。イノテックの子会社で、オサロへの出資を手がけたイノテック フロンティア執行役員のプリスウィ バッタ氏に、学生レポーターの山口萌さんが聞いた。

オサロに共同事業などを提案    

-オサロへの投資はCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)4.0という方法で行われたそうですが、CVC4.0とはどのような仕組みなのでしょうか。 

我々は技術商社であり、30年前から海外のベンダーと一緒にやってきている。大きな投資ファンドを通じていろんな企業に投資も行ってきた。この時代はCVC1.0といえる。このやり方だと直接スタートアップ企業に声をかけるのはハードルが高かった。 

この次のステップがCVC2.0で、社内にチームを作ってファンドを運営した。この方法でもなかなかスタートアップ企業が出てこなかった。その次のCVC3.0はチームの中に外部のベンチャーキャピタルの人を雇って運用した。海外の情報などは入手できたが、戦略投資までもっていくのは難しかった。 

今取り組んでいるCVC4.0はコーポレートベンチャーは社内でやり、ベンチャーキャピタルは外部にやってもらっている。ベンチャーキャピタルは専門知識やネットワーク、イグジット(投資回収)に関する手法などを持っており、これらは彼らにお願いし、社内では戦略を検討するという仕組みだ。 

-この方法で米国のオサロという企業に投資されています。どのような形で投資されたのでしょうか。 

オサロについてはシリコンバレーのベンチャーキャピタルであるペガサスと協議をし、我々がオサロとどういう事業をしたいのか、どういう組み方をしたいのかをまとめオサロに提案した。この提案をオサロが気にいってくれ、投資が実現し、一緒に事業を始めたという流れだ。 

オサロには有名な方が投資しているが、それは事業戦略の目線よりは資金のリターンなどが目的だと思われる。スタートアップ側から見ると、こうした投資はもちろんありがたいだろうが、彼らは事業を伸ばしたい、売り上げを伸ばしたいと考えており、そこのところを我々はオサロと一緒にやっているところだ。 

「ロボットメーカーと一緒になって事業を伸ばす」というプリスウィ バッタさん

-オサロとはどのような企業なのでしょうか。 

オサロはAIとロボットのソフトの会社で、二つの特徴がある。一つは物体の認識、目の技術。もう一つはモーションプランニングといわれるロボットのハンドをどう動かすかという技術。 

この技術を用いれば、揚げ物や焼き菓子などの形状が不ぞろいな食品や、透明な包装品、ビニール袋や衣類などの形状の変化が起こりやすい商品などのピッキングが可能になる。

我々は食品や化粧品、医薬品、物流などの分野で、ロボットメーカーと一緒になって事業を伸ばしていく考えで、我々がロボットを作って売ることは考えていない。