その名もスタートアップスタジオ。まだ日本では聞きなれない言葉だが、スタートアップを次々に生み出す“工房”の役割を担う。先陣を切る形で2018年5月に旗揚げした「ソラシードスタートアップスタジオ」の柴田泰成代表に狙いやその後の取り組みを聞いた。

柴田さんは起業家とベンチャー投資家の二つの顔を持ち、ファンドを運営しながら、自ら立ち上げた会社を朝日新聞社にバイアウト(売却)した実績を持つ。

同時多発的にスタートアップを生み出す

ースタートアップスタジオとは。

スタートアップを生み出す起業支援の新しい仕組みとして、米国のシリコンバレーを中心に数年前に生まれた。日本ではまだなじみがないかもしれないが、少しずつ広がりをみせている。

スタートアップを支援するプレーヤーとしては従来、個人投資家(エンジェル)やベンチャーキャピタル(VC)、起業後の成長を加速するインキュベーター、アクセラレーターなどの存在が知られる。

これらに続く新たな体系として注目されているのがスタートアップスタジオ。ファンド主導による起業を特色とする。同時多発的に複数のスタートアップを立ち上げ、世の中に送り出すことを目的としている。スタジオと呼ばれる理由はそのあたりにある。

朝日新聞社に会社を売却

ー自身、起業家であると同時に、ベンチャー投資家ですが。

楽天、リクルートを経て、2013年に投資ファンド「ソラシード・スタートアップス投資事業有限責任組合」(旧ファンド)を設立する機会を得た。30歳の時。自分としては起業家としての成功を夢見ていたので、支援側に立つことに実はピンとこなかった。

第1号の投資先として、ファンド100%出資でサムライト(東京・渋谷)という会社を設立し、自ら社長に就いた。預かった資金を運営しながら、他に出資するだけでなく、自分でも起業した。サムライトはオウンドメディア運営支援を手がける会社で、2016年4月に朝日新聞社に売却した。合計で15社に共同創業を含めて出資し、5社が売却を実現している。

そのころ、米国などで新たな潮流として注目されていたがスタートアップスタジオ。まさに、自分がやっている仕事じゃないかと思わず膝を叩いた。ベンチャー投資家と起業家、どちらが本業なのかと聞かれることが多かったが、ようやく時代が追い付いてきたように思った。

そこで2018年5月、スタートアップスタジオに特化した形でファンド(6億円規模)を設立した。