皆さんは、(自社が子会社を保有していると仮定して)子会社からの経営報告の質に満足しているだろうか? 数値の増減だけではなく、その原因が分析され、対策まで報告されているだろうか?おそらく、ほとんどの方が自信をもって、YESと言えなかったと思う。実際、私のクライアントの中でも、子会社からの経営報告の質に悩まされているケースが多い。

子会社からの経営報告の質を高めるには

子会社からの経営報告の質がイマイチだと、子会社の実情が分からないため、親会社としては、適当なフィードバックも支援もできない。また、複数の子会社を抱えている会社であれば、各子会社の経営報告の内容がバラバラでは、どの子会社にテコ入れすべきか、リソース配分の検討も難しくなる。ポストM&Aにおける典型的な問題だ。

経営報告の質はKPIの設定に依る。KPIは健康診断の指標のようなものだ。限られた指標の推移を定点観測することで、その人の健康状態を「推測」できる。「特定」ではなく「推測」だ。数値が悪かったとしても、すぐに病気と診断されるわけではない。精密検査を受けて、原因を特定していく。健康診断の指標が予兆を示すと同様に、KPIの本質は“SIGNAL”である。

KPIが適切に設定されていれば、当該子会社からの経営報告の質は格段に上がる。それらKPIの数値を見れば、企業の健康状態が推測できるからだ。そうすれば、子会社内で、事前に原因分析をして対策まで講じることが出来るかもしれない。或いは、そこまでは期待できなくても、企業の健康状態が推測できれば、その後の議論の質も上がるには違いない。

必ずしも正しく理解されていないKPI

しかし、KPIという言葉は有名である一方、正確には理解されていない場合が多い。例えば、子会社に課しているKPIが何かと問うと、決まって「それは売上と営業利益です」とか、「たくさんあって覚えていないです」という回答が返ってくる。中には、KPI=部評価・人事評価のための指標と考えている企業もあるようだ。

KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれる。この「Performance」や「業績評価」という言葉から、売上や利益といった財務指標を想起する人がいるのかもしれないが、実は違う。本来的には、KPIは、そういった財務指標だけで管理する欠点を補うために考案された、「目標達成の進捗度合いを評価するための概念」だ。

また、「Key」や「重要」という言葉から分かる通り、KPIは注視されるためには数が絞り込まれている必要がある。たくさんあって覚えきれないのでは本末転倒だ。“肝となる”指標だけ選りすぐられている必要がある。加えて、KPIが部評価・人事評価に使われる場合もあるが、KPIが評価指標に必ずしもなるわけではない。

今回は、このKPIについてどのような活用方法があるか、幅出しをしてみたい。活用パターンを知っておけば、KPIを検討し設定する際に参考になるに違いない。覚えやすくキーワードごとにまとめてみよう。