■連結納税の計算手順

それでは、簡略化したものではありますが、連結納税の具体的な計算手順を確認してみましょう。通常の法人税申告において課税標準(税率を掛ける元となる金額)である「所得」を計算するのと同様、連結納税においては課税標準である「連結所得」を計算するのが当面の目標となる点を意識しておくと理解しやすいと思います。

図 具体的な連結納税の計算手順

上述のように、連結納税の手続は各社の個別決算書上の当期利益からスタートします。図の「当期利益」(①)に対して「法人ごとの調整」(②)を行うことが最初のステップです。「法人ごとの調整」(②)は通常の法人税申告と同様のものであり、たとえば、減価償却限度額や特別償却に関する調整などが該当します。

次のステップである「グループ全体での調整」(③)には、交際費や寄付金の損金不算入額などが該当します。通常、これらの項目に関しては、会社ごとに損金算入できる限度額が決まっています。しかし、連結納税においては、グループ全体で損金算入できる限度額を計算することになっています。そのため、「法人ごとの調整」(②)とは区別して「グループ全体での調整」(③)と表記しています。

たとえば、中小法人では会社ごとに年800万円まで交際費が損金算入できますが、連結納税ではグループ全体で800万円までしか損金算入が認められません。しかも、親法人が大法人でそもそも交際費の損金算入が認められない場合には、たとえグループ内に中小法人があったとしても、グループ全体での損金算入額はゼロとなります。これは連結納税を適用することによるデメリットとも呼べる部分です。

「連結特有の調整」(④)には、子法人の帳簿価額の修正に伴う子法人株式の譲渡損益の調整などが含まれます。連結納税を開始することにより、税務上の計算では子法人の課税済の利益剰余金は変動しています。これに伴い、親法人が保有する子法人株式の税務上の価額も変動しているはずです。しかし、親法人の決算書上では、通常、子法人株式の帳簿価額を修正していません。そのため、子法人株式を売却して譲渡損益が発生した際には、決算書上の譲渡損益を税務上の譲渡損益に修正するため、過去の変動額を調整する処理が行われます。

以上のような調整を経たあと、グループ各社の所得を合計して「連結所得」(⑤)が算出されます。この「連結所得」(⑤)に税率を乗じることによりグループ全体の「連結税額」(⑥)が算定されます。「連結税額」(⑥)は親法人がまとめて納付するものですが、グループ各社の負担額を明らかにするために「連結税額」(⑥)の個別帰属額も計算されます。