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【M&Aインサイト】スピンオフ税制の新設、これによる企業再編・M&Aの新局面

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※画像はイメージです

スピンオフ税制の新設、これによる企業再編・M&Aの新局面

 本年3月末に国会で成立した平成29年度税制改正は、M&Aに関する重要な税制改正を多く含んでいますが、今回取り上げる「スピンオフ税制」の新設もその1つです。
 スピンオフとは、事業の一部や子会社を企業グループから切り出すことをいいます。
その目的は様々ですが、「選択と集中」による企業価値の向上等が挙げられます。
 今回の税制改正で対応されたスピンオフのための手法は、以下の2つです。

 今回のスピンオフ税制の新設まで、これらの手法には、切り出しを行う会社(「分割会社等」)への譲渡益課税とその株主へのみなし配当課税を伴うという税務上の問題がありました。しかし、スピンオフ税制により、2017年4月1日以降に行われる分割等については、一定の要件(分割会社等が分割等の前に他の者に支配されていないこと、切り出された会社(「旧子会社等」)が分割等の後に他の者に支配されていないこと等)を満たすことにより、適格組織再編成と取り扱われ、これらの課税が生じないこととなりました。

 このスピンオフは上場会社と非上場会社のいずれも活用が可能です(支配株主がいない場合に限られますが、支配株主がいる場合には本紙2017年2月号(Vol.38)の9.M&Aでご紹介した会社分割(適格分割)の方法を活用することが考えられます)。上場会社の場合、自社の株式の上場を維持しつつ、旧子会社等の株式も上場する必要があると考えられるため、後者の上場対応をどのように行うかが実務上のポイントになると考えられます。

 また、今回定められた適格要件によれば、分割会社等がスピンオフの後に第三者に買収されてもスピンオフの適格性は否定されないと考えられます。そのため、買収対象事業を分割会社等に残し、それ以外の事業を切り出した上で、分割会社等を買収するM&Aが可能となったと考えられます。このように、今回のスピンオフ税制は、企業グループ内の組織再編としてだけではなく、M&Aの手法としても活用が可能です。今後、スピンオフによる企業再編・M&Aが活発化することが期待されます。

弁護士 大石 篤史
03-5223-7767
atsushi.oishi@mhmjapan.com

弁護士 栗原宏幸
03-6266-8727
hiroyuki.kurihara@mhmjapan.com

文:森・濱田松本法律事務所Client Alert 2017年4月号Vol.40より転載

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