【M&Aと税務】スクイーズアウトの税務上の取扱いが大きく変わります
本年3月に成立予定の平成29年度税制改正で、スクイーズアウトに関し重要な改正が予定されています。
今回は税務調査をテーマとします。
税務調査という言葉は良く耳にします。税務調査を受けたことがある会社経営者や会社の経理担当者や関係者にとっては税務調査がどんなものかが分かると思いますが、それ以外の方にはあまりなじみのないものです。とはいっても、いつ税務調査が来るかわかりませんので、事前の心構えとして税務調査の概要を説明したいと思います。最後まで一読していただければ幸いです。
日本では、納税者もしくは納税者の代理人である税理士が自己申告によって申告するのが、原則となっています。つまり、自分が納めるべき税金計算を自分で計算し、自分で申告書を提出し、自分で納税するの原則です。
すべての納税者が正しく税金計算していればいいのですが、誤った計算や申告漏れ、脱税といった申告をする人がいるのかもしれません。そのため、誤った申告が横行し、納税者間に課税の不公平感が生じないように税務調査が行われます。
税務調査には、「強制調査」と「任意調査」があります。
強制調査はよく耳にする「マルサ」(国税局査察部)が脱税の疑われるような納税者に対して、裁判所の令状を得て強制的に行われる調査です。納税に関する資料を押収できる権限を有し、納税者はこの調査を拒否できません。
一方、任意調査は納税者の同意の下で行われる調査で、通常の税務調査のほとんどが任意調査に該当します。任意といっても、調査に応じなかったり、妨害などをすると、刑事罰が科されるため要注意です。
会社の規模により異なりますが、任意調査の多くは1名ないし2名で1週間程度で行われます。規模の大きな会社では、数十名で数カ月調査が行われることもあるようです。
税務署が管轄する法人は全国で270万社程度ありますが、とても全ての会社を調査することはできません。そのため、調査対象となるのはその6%くらいとなるようです。全体に数字で見ると、10年に1回くるか来ないかといったところです。
税務署も無闇やたらに税務調査を行っている訳ではありません。机上調査で長年のデータや資料、景気動向や業界動向から調査しある程度狙いを定め調査対象会社を選定します。
では、調査対象となりやすい会社とはどのような会社でしょうか?
1.売上が大きく、黒字の会社
赤字会社の場合は調査しても赤字の幅まで税金を取れない可能があるため、売上が大きく黒字会社のほうが調査に入る可能性が高くなります。
ただし、赤字会社だからといって税務調査が来ないということではなく、経理操作によって黒字を赤字に見せて申告する会社も少なくないため、うさんくさい赤字会社にも税務調査はくるようです。
2.売上高利益率、人件費比率等の経営分析結果に異常がある会社
売上高利益率が低い場合は、利益を小さくする(納税額を控えたい)ために売上漏れや実在性のない原価を計上している可能性が高くなります。
また、人件費比率が高い会社は、特に同業者と比較して法外な役員報酬を支払っている可能性もあります。
3.設立後3年が経過した会社
通常の税務調査対象期間は3年ですので、法人設立から3年を経過すると税務調査が入ることがあります。
利益率が業界平均よりも極端に低い会社、以前の税務調査で指摘が多かった会社、不正が多い業界に属している会社も税務調査は入りやすくなっています。
本年3月に成立予定の平成29年度税制改正で、スクイーズアウトに関し重要な改正が予定されています。
買い手企業は、できることなら投資回収を早めに済ませて、事業の成長や次の買収に資金を使用したいところです。そのためには税金の支払いを抑制する工夫が大事です。
節税ヒントがあるかもブログのメタボ税理士さんが第二次納税義務について実際の判例を基にご紹介します。