日韓関係が冷え込む中、KDDI<9433>はデータの自動匿名化技術を持つ韓国のDeeping Source Inc.(ソウル市)に出資した。 

個人情報保護の動きが強まる一方、企業による合法的なデータ収集ニーズが増加傾向にある。Deeping Sourceの匿名化技術はこの両方を実現することができることから、出資に踏み切った。出資比率は明らかにしていないが、経営権取得には至っていない模様。 

今後KDDI 、Deeping Sourceの両社が協力して新事業の創出を目指すことにしており、将来スマートフォンをはじめ、さまざまな分野での新サービスとして、匿名化技術が活用されそうだ。 

企業のデータセキュリティーを支援 

個人情報保護の手法としてこれまでは、例えば顔写真であればぼかしを入れたり、画像にマスクをかけたりしていた。ただ、これではAI(人工知能)が読み込めないため、データとして活用することができなかった。

これに対しDeeping Sourceの匿名化技術は、ぼかしに似た画像になるが、AIで読み込みが可能なため、データによる人やモノの解析、AIによる機械学習への利用が可能になるという。 

今後、KDDIグループのARISE analyticsが持つ画像解析技術と組み合わせ、ビッグデータ活用が期待されるデータビジネス領域で新たな事業の創出に取り組み、企業のデータセキュリティーを支援していく計画。 

KDDIは運用総額約200億円規模のファンドを保有しており、AI、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、フィンテックなどの分野で数多くのベンチャー企業に出資してきた。一方、Deeping Sourceは2018年6月設立の企業で、社員数は12人。

【ぼかしなどの従来技術と匿名化技術の違い】

同社リリースより

日韓のM&Aは減少傾向 

日本企業と韓国企業の資本関係を日本の上場企業が適時開示したM&A情報から見てみると、日韓の企業が絡むM&A件数は2018年の8件(韓国企業の買収6件、韓国企業への売却2件)、から2019年は5件(韓国企業の買収2件、韓国企業への売却2件、経営統合1件)に減少した。 

内容も日本企業による韓国企業の買収が6件から2件に大幅に減少し、全M&A件数に占める韓国関連の割合、クロスボーダー(国際間取引)件数に占める韓国関連の割合はいずれも低下した。日韓関係の悪化に伴い2019年は日本企業が韓国企業とのM&Aに距離を置いたことがうかがえる。

  2018年2019年
M&A総件数 782 841
クロスボーダー件数 182 190
韓国関連のM&A件数 8 5

文:M&A Online編集部