IPO、そしてM&Aへ

-グローバル展開はいかがでしょう。

山本 アジアを中心に進めている。日本語のほか、英語、中国語(繁体字・簡体字)、スペイン語、タイ語、ベトナム語の6カ国語に対応済みだ。アジアを優先しているのは、日本のIT企業によるオフショア開発(ソフトウェアやWebシステムなどの開発・運用の海外企業への委託)が盛んで、それら開発拠点と日本企業との間でビジネスチャット需要があるため。そうしたオフショア開発拠点から、現地企業へとChatworkの利用の輪は広がっている。

現時点ではユーザーの90%は国内。今後はインドネシアなどまだ展開していないアジア諸国や、欧米市場にも本格進出していく。グローバル市場を意識しており、将来は海外ユーザーの方が多くなるようにしたい。

-今後、Chatworkはどのようなサービスを展開していきますか?

山本 ビジネスチャットツールは社会のプラットホーム(土台)になり、その上に多様なサービスが実装されるだろう。すでにChatworkでは秘書・一般事務や人事・総務、会計・経理、カスタマーサポートなどのバックオフィス業務を代行する「Chatwork アシスタント」や、「Chatwork 電話代行」などのサービスを提供している。いずれもチャットをプラットホームにすることでスピーディーに対応でき、料金も低く抑えている。

現在、検討しているのはChatworkでの商取引支援。たとえば仕事の発注先やパートナーにふさわしい企業を、チャットで蓄積した日常のコミュニケーションデータを元に人工知能(AI)でマッチングして、チャットで紹介する。社内のチャットをAIで分析して、組織内のコミュニケーション不全や問題を抱えている社員を早期発見するといったサービスも検討している。いずれも数年以内にはリリースできるだろう。

-チャットがプラットホームとなれば、実装するサービスを増やすためのM&Aもありそうですね。

山本 当然、M&Aは考えている。人事、営業、マーケティングなど、さまざまなサービスツールを実装したい。そうした分野の有力なプレーヤーの中から、お互いにシナジー効果が発揮できる企業とのM&Aを進める。先ずはIPO(新規上場)を目指し、資金力がついたところでM&Aに乗り出すことになるだろう。

「チャットというプラットフォーム上に、さまざまなサービスを乗せる」と、山本さん

山本 正喜(やまもと・まさき)氏 電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄とともに、EC studio(現Chatwork)を2000年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、Chatworkを開発。2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供を開始。2018年6月、代表取締役CEO兼CTOに就任。

文・聞き手:M&A online編集部 糸永正行編集委員