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「労務DD用語」の要点 HRプラス社会保険労務士法人に聞く

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M&Aのみならず、IPOでもデューデリジェンスの意義は大きい

社員の理解と協力を得る努力をしたうえで【5条協議】に留意

「努力する」とか「協議する」といった、法令としてはいささか曖昧な表現で構成される労働契約承継法だが、「5条協議」と呼ばれる協議は労働契約承継法ではなく商法の附則に規定され、「社員の理解と協力を得る努力をしたうえで、この協議もしっかり行っておく必要がある」という主旨がある。

もともと会社分割は2000年の改正商法で創設された制度。その際に、社員との協議の重要性も改正商法の条文に盛り込まれた。会社分割後の会社や仕事内容の概要をはじめ、労働法上の債務が残っている場合の対応などについて協議する必要がある。

M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック

この7条措置と5条協議の関係、扱いについては佐藤氏の近著『M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック』(労働新聞社刊)にも触れているので参考にしたい。

佐藤氏はソフトバンクグループのアイティメディア<2148>の東証1部への市場変更や婦人靴のSPAを展開するダブルエー<7683>の東証マザーズへの上場に社外取締役、社外監査役という立場から関わるなど、IPOシーンで特定社会保険労務士として積極的に労務DDに携わっている。

「M&AもIPOも同様ですが、労務DDでは労務関連法規に沿う対応は当たり前のこと。それ以上に、対象となる会社の社員が元気よく働けるようにするための制度のチェック・見直しが重要です。M&AやIPOに関わる労務DDは労務監査報告書を出したら終了ではなく、PMIと呼ばれる統合プロセス、いわばM&A後の労働条件の整備などが重要な、息の長い取り組みになるケースが多いですね」

◎佐藤 広一さんのプロフィール
特定社会保険労務士。HRプラス社会保険労務士法人代表社員。
2000年、さとう社会保険労務士事務所(現HRプラス社会保険労務士法人)開設。人事労務相談、人事労務コンサルティング、IPO・M&Aに関する労務デューデリジェンスなどを展開。また、ASEAN諸国への進出支援を手がけ、海外赴任者に対する賃金制度の設計、海外赴任規程の作成などに携わる。著書は『図解と書式でやさしくわかる! 社会保険事務 最強ガイド』『図解でシッカリ! よくわかる労働法』『東南アジア進出企業のための 海外赴任・海外出張の労務と税務 早わかりガイド』など多数。

取材・文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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