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日本公庫と中小機構が「事業承継」でタッグ
日本政策金融公庫(日本公庫)は全国の事業引継ぎ支援センターのM&A情報をデータベース化したノンネームデータベースを活用して、日本公庫の取引先企業の事業承継のマッチングを支援する。
日本政策金融公庫総合研究所は調査月報11月号に「多様な働き方の実践で人手不足を乗り越える」との研究リポートを掲載。この中で12社の小企業の従業員確保策を紹介した。
いずれの企業も働き方を工夫することで採用、育成、定着に成功し、売り上げや利益が増加しているという。
従業員の働き方改革は、経営者の後継者難による廃業回避策であるM&Aと並んで、中小企業存続の一つの強力な武器となりそうだ。
同研究リポートは2018年7月号から2019年6月号に掲載した小企業の取り組みをもとにまとめたもので、多様な働き方の提供が小企業で人材を確保する有力な手段であることを示した。
事例として取り上げた12社は従業員数が3人から35人までで、平均が約14人という小規模な企業。
例えば従業員12人の大志建設(静岡県沼津市)は、地域貢献手当を支給して地域活動への参加を促したり、得意な仕事を任せることで従業員の責任感や自己肯定感を引き出した。
この結果、従業員が意欲的に仕事に取り組むようになり、同社が顧客から継続的に受注できるようになったという。
このほかにも短時間勤務と副業を認めた企業や、会社説明会と運動会を同時開催し、経営者や従業員の人柄を伝えることで新卒採用に成功した企業、さらにはテレワークやサテライトオフィスを導入した企業、地域活動支援休暇、リフレッシュ休暇を取り入れた企業などの事例を紹介している。
これら企業には「従業員は代替の利く労働力ではなく、自社にとってかけがえのない経営資源であるという認識があるように思われる」とし、さらに「政府が働き方改革を打ち出す以前から小企業は従業員の個々の就労ニーズを把握し、柔軟に対応してきた」と分析。
そのうえで、厳しい競争を生き抜き、理想を実現するために「小企業が従業員の多様な働き方を実践するのは、至極当然なこと」と結んでいる。
企業名 | 12社の従業員確保策 | |
---|---|---|
1 | 大志建設 | 地域貢献手当の支給、得意な仕事を任せる |
2 | データプロ | 多数のサテライトオフィスの開設 |
3 | イニシアス | 短時間勤務、副業可能 |
4 | スマートデザインアソシエーション | 東京から福岡に移転 |
5 | ママワーク研究所 | 主婦とベンチャー企業のマッチング |
6 | ザカモア | 会社説明会と運動会を同時開催 |
7 | テラサワ | 定年退職後のシニアを採用 |
8 | パルサー | ホームページで人材育成の仕組みを紹介 |
9 | クスカ | 主力事業であるネクタイの手織りの仕事は1日5時間まで |
10 | アライツ社労士事務所 | テレワークを導入 |
11 | サイファー・テック | 地域活動支援休暇、リフレッシュ休暇を導入 |
12 | エムディーシー | 映像制作の女性フリーランスを対象にした3カ月に一度の食事会開催 |
文:M&A Online編集部
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日本政策金融公庫(日本公庫)は全国の事業引継ぎ支援センターのM&A情報をデータベース化したノンネームデータベースを活用して、日本公庫の取引先企業の事業承継のマッチングを支援する。