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買い意欲旺盛な大阪企業 2018年の都道府県別M&A
2018年の都道府県別M&A(買収案件)は、件数で東京、取引総額で大阪がトップになった。経済規模で愛知に抜かれ東京、愛知に次ぐ3位に転落した大阪だが、M&Aでは愛知を大きく引き離し、東京に次ぐ2位の座を確保した。
M&Aを実施したあとに買収先の経営の要となっていたキーパーソンが会社を去ってしまうという事態もあり得ます。買収後も引き続きキーパーソンに活躍してもらうための繋ぎ止め策をリテンション・プランと呼びますが、業績連動報酬もそうしたリテンション・プランの一つとして活用されることがあります。
業績連動報酬は魅力的なインセンティブである一方、導入するためにクリアすべきハードルも多くあります。今回は業績連動報酬とはどのような制度なのかについて概説したいと思います。
対象会社が中長期的に企業価値を高めていくためには、企業価値の向上に応じた動機づけを経営陣に与える必要があります。報酬体系に関していうと、自社株報酬や業績連動報酬などがそれに該当します。
自社株報酬は動機づけという点に加え、経営陣と株主が価値を共有するという点においてもメリットがあります。業績連動報酬もまた中長期的には株主にとっての価値と調和するものといえます。
しかし、日本では依然として固定報酬が支配的であり、欧米と比較して業績連動報酬などの採用割合は低調です。こうした傾向は「日本再興戦略」などにおいても課題として認識されてきました。
業績連動報酬は利益に応じて報酬を支給するだけのシンプルな制度という印象を持つ方がいるかもしれません。しかし、業績を図る指標一つを取ってみても、営業利益が適切なのか、経常利益が適切なのか、あるいはEBITDAが適切なのかという検討事項があります。
例えば、経済産業省が公表している「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」では、業績連動報酬などを導入する際に検討することが有益な事項がいくつか述べられています。
まず、各社の状況に応じて経営戦略等の基本方針に沿っているかを踏まえて制度設計することが有益とされます。また、制度設計においては財務指標および非財務指標を適切な目標として選択しているかについても検討が必要です。
制度を導入する時期や報酬全体に占める業績連動報酬の割合も重要です。特に買収先の企業に業績連動報酬を導入する場合、グループ内の他の企業における報酬体系との整合性にも配慮が必要でしょう。
経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。
学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)
出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など
2018年の都道府県別M&A(買収案件)は、件数で東京、取引総額で大阪がトップになった。経済規模で愛知に抜かれ東京、愛知に次ぐ3位に転落した大阪だが、M&Aでは愛知を大きく引き離し、東京に次ぐ2位の座を確保した。