【M&Aと人事戦略】第1回 買収先の社員意識調査を実施しよう

日本企業が苦手とされるクロスボーダーM&A(海外企業の買収・合併)。しかし、経済のグローバル化に伴い、海外企業の買収は避けて通れません。M&Aで傘下に収めた海外子会社を、しっかりと自社の戦略に組み入れ、十分に活用することでM&Aの価値を実現する必要があります。M&Aの価値実現に向けた本社人事部の役割や主導して行うべきことを、これから約1年にわたりシリーズで解説していきます。

 M&A直後の社員意識調査のすすめ

第1回は、海外子会社への社員意識調査について説明します。社員意識調査は、海外子会社社員の「満足度」という「主観」を通じた、「職場と会社の評価」という側面があります。本社がM&A後に必要な介入や是正を行っていく上での基本情報を与えてくれます。海外子会社内で生じている問題や、弱点をかかえる部署の特定に役立ちます。

また、M&Aによって司令塔が変わったことを、海外子会社の社員に認識させるという意味もあります。ですから、M&A後できるだけ速やかに実施することが大事です。

M&Aが完了したら、直ちに買収企業の社員意識調査を実行しよう Photo by mohamed hassan

調査による確認すべき点

調査シートは、本社として知りたいことを質問項目に落とし込んで作っていきます。よく、人事や組織に関する内容を網羅的に聞く社員意識調査がありますが、広く浅く聞くと、具体的な対策を検討する根拠や材料としては弱いものになります。M&A後の社員意識調査は、自社が早急に知るべき重要項目に絞り込んでもよいと考えます。

しかし、すでに自社で使っている社員意識調査を利用したいという場合もあるでしょう。その際は、最低限以下の4点が部署と職位別に把握できるものになっているか確認して下さい。

① 上司・部下の間に一定の信頼関係があるか、風通しはいいか
② 仕事に対する誇り、同僚に対する連帯感、会社に属するメリットを感じているか
③ 不正やコンプライアンス違反が現在あるか、将来発生するリスク要因があるか
④ 会社や事業を発展させるための具体的な提案(自由回答形式)