日本企業でインセンティブ報酬の導入が進む

「○○(会社名)、譲渡制限付株式報酬制度の導入を決議」「当社は、本日開催の取締役会において、業績連動型株式報酬を用いたインセンティブ型役員報酬制度の導入を決議いたしましたー。」このような新聞記事の見出しや上場企業のプレスリリースを見た覚えがある、という方は多いと思います。

日本企業のあいだでも、インセンティブ報酬制度の導入が進んでいます。政府が中長期的な企業の成長を後押しするため、コーポレートガバナンスの強化を推奨しており、インセンティブ報酬としての中長期業績連動報酬(Performance Share)や株式報酬(譲渡制限付株式・Restricted Stock)に関する諸制度を整備してきたことによるものです。

「攻めの経営」が企業に求められる今、経営者への役員報酬によるインセンティブ付与に関する制度導入の背景や概要、今後の見通しについてお伝えしたいと思います。

固定報酬の割合が高い日本企業

まず、世界各国のCEO報酬比較からみていきましょう。下記は、売上高1兆円以上の企業を対象とした日米英CEOの報酬グラフです。日本のCEO報酬は、固定報酬が58%を占めるのに対し、米国の固定報酬の割合はわずか11%、英国は25%であり、欧米ではインセンティブ報酬の割合が非常に高くなっています。

図1 欧米諸国との報酬比較と業績連動報酬の決定のための指標

ウイリス・タワーズワトソン作成 経済産業省産業組織課:「攻めの経営」を促す役員報酬 P.6各国のCEO報酬比較より

固定報酬が中心の日本では、業績向上のインセンティブが効きにくいと言えます。日本における経営者報酬の要素を図にすると、以下のとおりとなります。

図2 日本における経営者報酬の要素

タワーズワトソン作成 経済産業省:第13回コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会発表資料より

日本企業による中長期のインセンティブ報酬としては、ストックオプションが活用されてきましたが、制度自体が複雑でわかりにくくなっていたことから、シンプルでわかりやすく、かつ、グローバルでも広く用いられ、海外拠点への展開も比較的制約の少ない「譲渡制限付株式の導入」に向けた制度整備が望まれていました。

日本の経営者に対するグローバル投資家の見方は、次図のとおりです。優秀な人材を海外から広く求める際にも、報酬体系の違いが障壁となる可能性があるとも考えられました。

図3 日米英CEO報酬の比較

タワーズワトソン作成 経済産業省:第13回コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会発表資料P.10より