「社会保険の適用拡大」に関するアンケート調査

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「社会保険の適用拡大」に関するアンケート調査

公開日付:2016.09.23

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象を拡大する制度改正が10月1日から施行される。従来、週30時間以上の短時間労働者が対象だったが、拡大後は従業員501人以上の企業に週の労働時間が20時間以上、月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)、1年以上の雇用見込みで勤務する学生以外の短時間労働者も対象となる。厚生労働省は約25万人が新たに適用されると推計している。

東京商工リサーチでは今回の適用拡大への対応について、企業を対象にアンケート調査を実施した。それによると短時間労働者の雇用が多いサービス業、運輸業で関心が高く、また、実施を前にすでに従業員の勤務時間調整や退職の動きもでていることがわかった。企業が負担する社会保険料(法定福利費)の増加によるコストアップには、経費節減で臨む姿勢がみられた。企業の保険料負担の軽減を望む声が強く、社会保険未加入事業所の是正など公平な制度運営に関する要望もあった。

※本調査は2016年8月18日~8月31日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答を得た6,941社を集計、分析した。

適用拡大についてサービス業や運輸業の関心が高い
Q1.社会保険の適用拡大についてご存知でしたか?

社会保険の適用拡大について、「知っている」と回答したのは4,682社(構成比67.5%)と約7割に達した。産業別では、サービス業他(同70.6%)で最も認知されており、次いで、運輸業(同70.0%)、建設業(同69.1%)、小売業(同69.0%)、製造業(同68.6%)と続き、5産業が全体の構成比を上回った。

一方、最も認知度が低かったのは不動産業(同58.6%)で唯一6割を割り込んだ。

「知らなかった」と回答したのは2,259社(同32.5%)だった。大半は従業員数500人以下や短時間労働者の雇用がなく、今回改正の対象外となる企業で認知されていない傾向がみられた。

適用拡大にも従業員数500人以下の企業の4割以上が対応予定なし
Q2.適用拡大に向けて対応していますか?

適用拡大について、何らかの「対応を実施した(予定含む)」のは1,483社(構成比21.4%)と約2割にとどまった。従業員数別では、501人以上で「対応を実施した」のは180社(同37.8%)を占めた。一方、従業員500人以下では1,303社(同20.2%)で、17.6ポイントの開きがあった。

今回の改正で対象とならない従業員500人以下の企業は、「検討しない/対応しない」が2,861社(同44.3%)と最も多かった。

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