クロスボーダーM&A後の人事戦略シリーズ第3回目は、「人事制度を通じた買収先企業の統合」について解説します。

日本企業の中には、買収した「相手企業の自立性を重んじる」との理由から、できるだけ「経営への介入」とみなされるアクションを控えようとするケースもあるようです。しかしそれでは企業の垣根を超えた協働は思うように進みません。

買収後できるだけ速やかにこうした垣根を取り払う上で、人事制度の統合を通じた社員の意識・行動のリセットが必要になります。相手企業の人的リソースを把握する意味でも必要です。また、人事制度統合作業は、双方のキーマンが知り合う絶好の機会ともなります。ですから、M&A後1~2年で人事制度の統合作業に着手することが望ましいのです。

M&A後1~2年で人事制度の統合作業に着手することが望ましい

グローバル人事制度は目的を絞ってコンパクトに

買収を頻繁に行う企業では、グローバル共通の人事制度をもっておき、買収先企業をそれに統合していくようにすれば、人事制度統合作業を軽減することができます。ただし、グローバル人事制度といっても、人事制度のなにからなにまで共通化する必要はありません。

共通化する部分を絞って、コンパクトなグローバル人事制度にすることも可能です。何をどこまで共通化するかは、早い話が「何をコントロールしたいか」によって決まります。たとえば次のようなケースが考えられるでしょう。

・各拠点の人員構成と人件費の決定権限をにぎりたい

・各拠点の優秀人材を把握しグローバルに活用したい

・企業グループとしてのブランドを強化したい

上にあげた3点すべてが自社に当てはまる、と思うかもしれませんが、まずは人員構成と人件費のコントロールから始め、優秀人材の把握と活用、3年後に企業ブランド強化を進める、といった具合に、段階を追って進めるのも一つの手です。

今号では、紙幅の関係から「人員構成と人件費コントロール」を目的としたグローバル人事制度について解説します。