合併、買収後に予期せぬ人材流出のリスクがある。 

組織・人事コンサルティング会社のクレイア・コンサルティング(東京都港区)は、M&Aを実施したことのある企業20社の人事担当役員らを対象に聞き取り調査を行ったところ、このような結果がでた。

評価・報酬制度の整備、将来の見通しが重要 

2019年5月に過去10年以内にM&Aを実施した製造業、商社、損害保険会社、スポーツ用品販売、不動産、独立行政法人などの人事担当役員や人事担当者を対象に、従業員との間でどのような課題やリスクが生じたのかを調べた。 

その結果、M&Aが潜在的な離職予備軍の背中を押すきっかけとなり、予期せぬ人材流出が発生したほか、既存従業員の処遇・労働条件を維持することで、ベテラン従業員の処遇やポジションが温存され、若手従業員が失望し離職に至るケースもあった。 

さらに、統合後の事業方針や処遇条件などが明らかになるまで従業員は静観しているが、統合後の方針や諸条件が明らかになると離職を選択する従業員が発生。とくにM&A実行後1年以内の人材流出が顕著であったという。 

人材流出の防止策として「経営陣による早期の方針提示」「統合後組織におけるポストの提示」「統合後組織の評価基準やインセンティブの提示」が有効と人事担当者が認識していることも分かった。 

クレイア・コンサルティングによると、「処遇の維持だけでは人材流出の防止は難しく、M&A後も意欲的に仕事に取り組むための評価・報酬制度の整備、将来の見通し・期待を含めた経営陣からのメッセージ発信が重要」と結んでいる。 

クレイア・コンサルティングは2002年設立で、人事制度改革や人材育成システム、組織診断などの事業を手がけている。2016年にM&Aや企業再編に遭遇した被買収企業の従業員400人を対象にアンケートを実施しており、この調査でも被買収企業の従業員のうち、2割が3年以内に転職したという結果が出ていた。

文:M&A online編集部