日本企業が海外企業を買収するアウトバウンド型のM&Aは、円安になった今も活発だ。しかし、多額の投資をして買収したにもかかわらず、PMI(Post Merger Integration、買収後の統合プロセス)が思うように進まず、業績面で苦戦する日本企業は多い。

日本企業がグローバル企業に脱皮してM&Aを成功させるには何が必要なのか。日系や外資系企業のM&Aに関わる組織・人事面の支援の分野で、十数年にわたる豊富な経験を有するマーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング部門プリンシパル、鳥居弘也氏が語る、M&Aを成功に導く組織・人事の考え方を短期集中連載する。

―― 海外M&Aの成功には、ガバナンスと並び、日本国内の組織人事も国際ルールに従う「国内のグローバル化」が必要(第1回)と言及されました。

将来的に海外での成長を考えるのであれば、国内の組織人事のグローバル化は不可避です。これは世界的なルールなので、日本だけが外れていることはできません。また、国内・国外を問わない事業展開を実現しなければ、今後は国内従業員の雇用を守ることも難しくなります。

日本では、まだ法制度が十分に整っていませんが、先進企業は既に、要員数や報酬の最適化を進めています。

―― 今後は、どのような組織・人事になっていくのでしょうか。

ジョブ(職務)を起点にして、組織・役職・処遇を見直す動きが、強まるでしょう。この職務・等級改革は、かつての成果主義とは異なります。成果主義改革は、トップの方が重くなった組織をピラミッド型に再構築し、報酬を改革する狙いが背景にありました。

しかし、今の改革は、顧客の求めに臨機応変に応えられる職務と権限の設計を起点に、職務遂行に最適な組織を整備しようというものです。たとえば、顧客から均質なサービスを要求される会社はピラミッド型の組織に、顧客セグメントごとに異なるきめ細かな対応を求められるなら、小単位の組織に権限を委譲するフラット型の組織になります。