これから起業する人やベンチャー企業の経営者が最低限知っておくべき法律知識について、司法書士の田中あゆ美氏が解説する。第2回のテーマは会社の種類。合同会社と株式会社の違いやメリット、デメリットを理解しよう。(第1回の記事はこちら

■合名・合資会社 ベンチャー企業に不向き

 これから会社を設立しようとするときに迷うのが、どの様な形式の会社で設立するかということです。会社法上、会社の種類には大きく分けて2つあります。株式会社と持分会社です。この2つのうち持分会社には、さらに合同会社、合資会社、合名会社の3つがあります。従って、現在、新規に設立する会社は以上の4つのいずれかに当てはまることになります(2006年の会社法改正で有限会社は新規設立できなくなりました)。

 持分会社は、原則として社員全員(持分会社では出資者)の同意によって運営され、社員自らが業務執行に当たるという形式の会社であり、所有と経営が分離していない会社のことです。

 しかし、合名、合資会社は一般に設立することは稀です。というのは、この二つは無限責任を負う社員が必要となるため、ベンチャーとして起業していく際には不向きといえます。無限責任とは、万一会社が倒産した場合に、出資者が出資した金額の範囲を超えて債務を弁済する責任を負うことを意味します。一般に、日本で起業される会社の多くが合同会社か株式会社の形式をとっています。

■合同会社 設立手続き容易、費用も安く


 では株式会社にせず、合同会社として起業するメリットは何でしょうか。一般的には、合同会社の方が設立手続きが容易であり、加えて費用も安いことが挙げられます。

 また、公証役場での定款認証について、合同会社については不要となり費用がかかりませんが、株式会社については定款認証が必要となるため、5万円程の費用がかかります。設立登記申請時の登録免許税については、合同会社は6万円で済みますが、株式会社の場合は最低でも15万円は必要です。これらの費用だけからみても、合同会社の方が約14万円ほど安く済むわけです。

 また、役員の任期についても違いがあります。合同会社については任期の定めはありませんが、株式会社については、最長の場合でも任期を10年と定める必要があるため、定期的に役員の変更登記が必要となり、その都度登録免許税として1万円(資本金1億円以上の場合は3万円)が必要となります。

 さらに、株式会社には決算公告の義務があり、公告を怠りまたは不正の公告をした場合には100万円以下の過料が科される、となっています。このように、株式会社に比して合同会社の場合には、会社を運営していく上で種々の費用・事務が余分に必要となってきます。