M&A際には買収対象となる企業の収益性や存在するリスクを適正に評価する必要がある。デュ―デリジェンス(以下DD)は時間との戦いである。

DDは一般的にビジネスDD、財務・会計DD、法務DDといったものの他、不動産DD、システムDD、人事・労務DD等といったものまで多種多様にわたり、買収対象企業の実態を正確につかめるか否かは、事前の綿密な計画作りと、相手側の受け入れ態勢に大きく影響される。

買収対象企業のビジネスモデル、企業文化、収益力、資産力、事業リスク等を多面的に評価し、買収後に発生する可能性のある財務や法務のリスクに関して、買い手企業は買収対象企業に保証や責任分担を求め、これを表明保証するように求めることが行われている。

多発する労務に関するトラブル

人事・労務DDとは人に関するDDでは、買収対象企業が労働法制の遵守度合いに関する調査と人事システムに関する調査が中心となる。

前者は、未払い賃金や労働・社会保険料の未納等、財務や法務面にも絡むリスクがないかを検討する他、解雇や再雇用、同一労働・同一賃金の観点等からの偶発債務の洗い出しを行う。

後者は、会社経営は人財次第との観点から、社風や人の特性、保有資格、人事制度、組織体制等の調査を通じて人的資源とリスクを分析し、M&A後の経営改善に繋がる有意義な情報収集も行う。

人事・労務DDはこのように、現状分析や過去分析といった観点が強い財務・会計DDや法務DDに関する分野と、事業計画やSWOT分析等を行うビジネスDDのようなM&A後の将来分析に関する分野にまたがっている。

労務に関するトラブルが昨今多発しているが、買収対象企業の特性に応じて調査項目を臨機応変に絞り込み、効率的な調査を行うことができる専門能力が求められる。