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資産売却「HIS」「電通」「西武」などが次々と
大手企業による資産売却が相次いでいる。財務体質の強化の一環として、さらにはコロナ後を見据えた投資拡大に向け、今後も資産売却に取り組む企業は増えそうだ。
大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>は、米国の現地法人H.I.S. International Tours (NY) Inc. (ニューヨーク)を通じて、米国、カナダ在住の人を対象に、旅行者が自身の旅行で排出される二酸化炭素(CO2)をオフセット(相殺)することのできる旅行プランを販売する。
コロナ禍による観光客減少の影響で、環境が改善した事例などを踏まえ、コロナ後に観光に配慮した旅行需要が増えると判断した。
旅行者が自身の旅行により排出されるCO2をフライト、ホテル、レンタカーごとに計算することができるほか、旅行者は算出されたCO2の量に応じてオフセット料金(CO2の排出を削減するプロジェクトなどの支援に充当される予定)を支払える仕組みを構築した。
さらに同社は近く、ドイツのフランクフルト、スペインのマドリッド、英国のロンドンに日本酒や焼酎、緑茶、米、黒糖、とろろ昆布、七味唐辛子などを販売するアンテナ店を開業し、食と観光を融合した新しいスタイルを創出することで、コロナ後に訪日外国人旅行者の増加を目指すという。
今後、経済活動の再開や行動制限の緩和などが見込まれており、こうした取り組みが日の目を見る日はそう遠くはなさそうだ。
CO2オフセット旅行プランは、気候変動対策のスタートアップ企業であるノルウェーのCHOOOSE(オスロ)と提携して開発し、新ブランド「Copolo」として立ち上げた。
予約時に旅行者自身の意思で、環境に配慮した旅の仕方やホテル、レンタカーなどを選択でき、旅行中に排出したCO2の量に応じて支払うオフセット料金は、CHOOOSEがCO2の排出を削減、捕捉、回避するプロジェクトの支援に支出する。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航や外出の減少で、インドで大気汚染物質の排出量が減少したほか、イタリアのべネチアでは運河の水質が改善したことなどが伝えられており、同社では今回の取り組みで「人々が自分の選択により、環境改善への意識変化を起こす機会の一助になることを目指している」としている。
日本酒や食材などのアンテナ店は、日本の伝統食品メーカーや生産者などが中心となって設立したテロワール・アンド・トラディション・ジャパン(T&TJ、東京都豊島区)と連携して開業する。
両社は、食と観光を融合し、国境を越えた物と人、地域を結び付けることを目的にした協働体「Fooravel&Delivalue」を設立し、同事業を拡充する。
すでにHISは2021年2月にドイツのベルリンにアンテナ店をオープンしており、今回の3店舗のあとも、年内にはドイツのミュンヘン、イタリアのローマにも出店する予定。
T&TJは、フランスをはじめドイツ、オランダ、スイス、イタリア、イギリス、ポーランド、スペインなどに日本食品の輸出事業を手がけている。
文:M&A Online編集部
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大手企業による資産売却が相次いでいる。財務体質の強化の一環として、さらにはコロナ後を見据えた投資拡大に向け、今後も資産売却に取り組む企業は増えそうだ。