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ベインキャピタルが仕掛けた「大江戸温泉リート投資法人」はやや香ばしい匂いがする
ベインキャピタルは2015年3月に非上場の大江戸温泉の全株式をおよそ500億円で買収していました。企業価値(業績)を上げて上場させるのかと思いきや、リートを組成するというまさかの変化球。業績を急回復させる目処が立たず、不動産を転がす作戦なのですね。
お台場屈指の観光スポットであり、年間100万人が訪れる人気施設「東京お台場大江戸温泉物語」が2021年9月5日で閉館することとなりました。閉館の理由は、東京都との事業用定期借地権設定契約が2021年12月に期限を迎えるため。契約の最長期間は20年で延長が認められず、再契約もかないませんでした。建物は解体撤去され、更地にして土地は東京都に返還されます。
この東京お台場大江戸温泉物語と土地契約の問題は、豊洲市場に隣接する「千客万来施設」の運営を巡り、対立を生んだ過去があります。この記事は、大江戸温泉と千客万来が辿った道を整理してお伝えするものです。
本記事では、以下の情報が得られます。
・大江戸温泉の概略
・豊洲市場の新施設「千客万来」いざこざの内情
全国にテーマパーク型の温泉施設を展開する大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(中央区)は、お台場の温泉施設がルーツです。運営会社である大江戸温泉物語を2001年11月に設立し、2003年3月に日本初の温泉テーマパーク東京お台場大江戸温泉物語を開業しました。
施設の運営が軌道に乗ると、全国の観光ホテルや温泉施設などを次々と買収。2007年3月に「大江戸温泉物語 あいづ」(旧:ウェルサンピア会津)、4月に「大江戸温泉物語 伊香保」(旧:伊香保東急ビラ)、「大江戸温泉物語 日光霧降」(旧:メルモンテ日光霧降)など、リニューアルした施設を次々とオープンしました。
子供連れで楽しめるテーマパーク型のコンセプトが受け、またインバウンド需要も盛り上がっていたことから、2020年7月末の時点で39施設を運営するまでに成長しました。
2015年3月には、米投資ファンドのベインキャピタルが創業者一族などから全株式を500億円で取得しています。ベインキャピタルは会社の株式上場を目指していたとされていますが、大江戸温泉のグループの物件を所有する大江戸温泉リート投資法人<3472>を2016年8月に上場させました。大江戸温泉リートは2021年6月時点で14施設を所有していますが、この中にお台場の物件は含まれていません。
さて、温泉施設の一大グループを形成する礎となった東京お台場大江戸温泉物語ですが、東京都と千客万来の運営会社をめぐる騒動の火種となった過去があります。
ベインキャピタルは2015年3月に非上場の大江戸温泉の全株式をおよそ500億円で買収していました。企業価値(業績)を上げて上場させるのかと思いきや、リートを組成するというまさかの変化球。業績を急回復させる目処が立たず、不動産を転がす作戦なのですね。