新幹線がなければ「存亡の危機」に

本来のスーパー特急規格で期待できる時間短縮効果はほとんどないが、ミニ新幹線同様の相互乗り入れ実現により「乗り換えなし」で乗客の利便性を高める効果はある。なにより「新幹線」と名のつく鉄道が四国に上陸するという「ブランドイメージ」が大きい。

四国新幹線の誘致機運が本格的に盛り上がったのも、未着工だった北海道、北陸、九州の3区間で2012年に建設のゴーサインが出て、四国4県と地元経済団体が「国内の新幹線網から取り残される」との危機感を持ったからだ。その「悪夢」は2016年3月の北海道新幹線(新青森駅- 新函館北斗)開業で現実になった。

地元は四国新幹線の建設を熱望しているが…(四国新幹線整備促進期成会ホームページより)

瀬戸大橋線以外の路線はすべて赤字のJR四国も、既存の新幹線ネットワークと接続することで中国地方や関西、九州方面の都市間旅客輸送を航空機や高速バスから奪還しなければ、会社存続も危うくなる。

しかし、長崎新幹線の導入断念でFGT開発がストップする可能性が高まった。JR四国がFGTを単独導入するのも車両コストを考えれば、現実的ではない。JR西日本<9021>もFGTの山陽新幹線乗り入れには「技術的な問題が多い」と慎重で、JR四国だけのために開放するとは思えない。

FGTが使えないとなるとフル規格かミニ新幹線規格による整備しかないが、コストが安いミニ新幹線ですら年間赤字が114億円と経営基盤の弱いJR四国には荷が重い。長崎新幹線の新鳥栖―武雄温泉間はわずか50km。FGTがなくても、フル規格かミニ新幹線規格で整備できない距離ではない。一方、四国の県庁所在地(高松市、松山市、徳島市、高知市)を結ぶ四国新幹線は300kmを超える。長崎新幹線のFGT導入断念は、四国新幹線の「息の根を止める」ことになりそうだ。

文:M&A Online編集部