【サムティ】5年間で利益倍増へ 成否のカギはM&A

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サムティの東京本社の入る東京・丸の内のビル

5年間に7500億円を投資

強靭化計画のアフターコロナ版では四つの基本方針を掲げた。一つはマンションなどを開発し原則3年間保有することで賃貸収入を増やすというもので、これまで営業利益の15%ほどしか占めていなかった賃貸収入を2025年11月期には50%にまで高める計画だ。

金額だと現在の26億円が2025年11月期には175億円とおよそ7倍に膨らむ計算になる。その一方、現在、営業利益の85%を占めている開発利益は35%まで低下する。金額では147億円が約122億円に減少する見込みだ。

二つ目は投資家から集めた資金でホテルを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配するホテルREIT(不動産投資信託)を設立するというもので、同社が関連する既存ホテルの収益力を強めるとともに、新たな投資についても継続して実施するとしている。

2021年8月にはホテルや旅館の再生開発に強みを持つ不動産会社のウェルス・マネジメントと資本業務提携(サムティがウェルス・マネジメント株の32.02%を取得)し、ホテルREIT設立に向けた連携を始めた。

三つ目は地方の中核都市で積極的な投資を行うというもので、関東圏や関西圏などの14都道府県で賃貸マンションなどの開発を進める。

最後の四つ目は海外での事業を拡大し、将来の経営の柱に育てるというもので、ベトナム最大手の不動産デベロッパーVINHOMES JOINT STOCK COMPANYと共同で分譲住宅事業を始めたのを機に、ベトナムでの事業を拡大するほかASEAN諸国で分譲住宅事業への参入を模索していく。

同社では、この方針に沿って2021年11月期から2025年11月期までの5年間に総額約7500億円を投資する方針だ。投資家向けのワンルームマンションなどの開発に3000億円、ホテルやオフィスの開発に1200億円、海外事業に800億円といった具合で、見直し前の強靭化計画で見込んでいた2019年11月期から2021年11月期までの3年間での投資額3000億円を大きく上回る積極的な内容となっている。

これによって2020年11月期に4000億円弱だったグループ資産は、2025年11月期には1兆円を超えるところまで増加する見込みだ。

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