東急ハンズを子会社化する「カインズ」が、打ち出す次の手は

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カインズの店舗(カインズ提供)

DIY用品などを手がける東急ハンズ(東京都新宿区)を2022年3月に子会社化する、ホームセンター最大手のカインズ(埼玉県本庄市)が、連携の動きを活発化させている。

同社は2022年1月12日に、AI(人工知能)で中古車の査定を行うサービスなどを手がけるファーストグループ(東京都渋谷区)と、資本業務提携したと発表した。

すでに契約は2021年11月に締結しており、今後さまざまな移動手段をシームレスにつなぐMaaS(マース:モビリティ・アズ・ア・サービス)によるスマートモビリティ事業などを具体化していくという。

東急ハンズの子会社化は、都心を中心に店舗展開している東急ハンズを介して、新たな客層を開拓するのが狙いだった。ファーストグループとの資本業務提携にはどのような狙いがあるのだろうか。

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革新的なモビリティサービスを提供

ファーストグループは、自動車業界のビッグデータをもとに、独自の手法で中古車の相場を瞬時に算出するAI査定や、車を売りたい人と買いたい人をマッチングするサービスなどを手がけている。

AI査定は、会員登録や個人情報の入力が不要で、いつでも相場がチェックでき、マッチングサービスは、中間流通を省き、低コストで車の乗り換えが可能になる特徴を持つ。

この他にも、車検や整備、部品販売など、カーライフ全般をサポートしており、今後はカーシェアリングや、自動運転技術を活用した革新的なモビリティサービスを提供していく計画だ。

新たな客層を開拓

カインズは、車で来店する人がほとんどのため、提携を機に来店客のカーライフを快適にできる提案を模索していくとともに、将来的にはMaaSの需要なども取り込んでいく計画という。

提携契約はカインズのグループ企業であるオートアールズ(埼玉県本庄市)とベイシアグループ総研(埼玉県本庄市)が加わった4社で結んでおり、互いの得意分野や経営資源を利用し、協力してカーライフ事業やモビリティ事業を推進する。

オートアールズは、タイヤ交換やオイル交換、車検などのサービスを行っており、オートアールズの店舗で、ファーストグループのサービスを取り扱う。ベイシアグループ総研は、グループ各社に対する事業支援を行っており、今後は移動に関する事業やサービスの開発を進める。

MaaSは電車やバスなどの公共交通機関をはじめ、タクシーやレンタカー、カーシェアなどのさまざまな移動手段を統合したサービスで、スマートフォンのアプリなどを用いることで経路の検索や交通機関の予約、支払いなどができる仕組みをいう。

これまでにない新しいサービスのため、東急ハンズの子会社化と同様に新たな客層を開拓につながる可能性は高そうだ。

文:M&A Online編集部

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