上方修正の「吉野家」 下方修正の「すき家」その実態は

alt
写真はイメージです

牛丼チェーン店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス<7550>が2022年2月8日に、2022年3月期の業績予想を下方修正した。

同じ牛丼チェーン店「吉野家」を運営する吉野家ホールディングス<9861>は、2022年1月12日に、2022年2月期の業績予想を上方修正していた。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、苦戦を強いられてきた両社だが、上方修正で回復を印象付けた「吉野家」に対し、下方修正で厳しい状況があらわになった「すき家」といった構図が浮かび上がる。実態はどうだろうか。

ゼンショー、レストランや小売りが不振

ゼンショーは、コロナ禍による営業時間短縮の影響から2022年3月期の売上高を、当初予想から236億6300万円引き下げ6644億円に、営業利益も同97億1600万円引き下げ 128億円にそれぞれ下方修正した。

一方で営業時間短縮要請の協力金215億600万円を特別利益に計上したため、当期利益は同 49億6100万円引き上げ、141億円に修正した。

同社の2022年3月期第3四半期の部門別の状況を見ると、すき家などの牛丼部門の売上高は、1749億2600万円で、前年同期と比べると7.5%の増収となっており、下方修正の中でも牛丼事業が堅調に推移していることが分かる。

100円ずしチェーンの「はま寿司」などからなるファストフード部門の売上高は1112億5800万円で、こちらも同7.9%の増収となり、すし人気の高さがうかがわれた。

その一方で「ココス」や「ビッグボーイ」などレストラン部門の売上高は671億1400万円で、同7.1%の減収となった。

スーパーマーケットの「ジョイマート」や青果販売の「ユナイテッドベジーズ」などからなる小売事業の売上高は607億2200万円で、こちらも同9.2%の減収となった。

吉野家、儲ける力が回復

一方の吉野家は、2022年2月期の業績予想を修正し経常利益は当初予想より45億円引き上げ150億円に、当期利益は同25億円引き上げ72億円とした。新型コロナウイルスの感染拡大防止協力金や雇用調整助成金などの収入93億4500万円を営業外収益に計上したため大幅な上方修正となった。

合わせて「吉野家の既存店売上高は堅調に推移している」とし、今回は据え置いた売り上げや営業利益についても上振れする可能性を示した。

2022年2月期第3四半期の決算内容を見ると、売上高は前年同期比10.6%の減収となったが、子会社の京樽の売却の影響が大きく、京樽分を除くと増収になったという。

また本業の儲ける力を示す粗利益率は66.5%で、前年同期より3.9ポイント改善した。こうした点を考慮すると売り上げや営業利益が上振れする可能性は否定できない。

両社ともに営業時間短縮要請の協力金などを計上することで当期利益が大きく膨らんでおり、この面では上方修正といえる。他方、売上高と営業利益では上振れする可能性を示した吉野家に対し、下方修正したゼンショーでは、明らかに方向に違いがある。

コロナ越えに向け先行していたゼンショーの勢いがやや衰え、厳しい状況にあった吉野家に回復の兆しが見えてきたというのが、実態といえそうだ。

【ゼンショーホールディングスの業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想

【吉野家ホールディングスの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

松屋の牛丼値上げ効果は限定的か? 客単価の底上げできず

松屋の牛丼値上げ効果は限定的か? 客単価の底上げできず

2022/02/11

牛丼の松屋フーズホールディングスの業績が冴えません。2022年3月期第3四半期の売上高は前期比1.1%減の703億4,500万円でした。吉野家の2022年2月期第3四半期の牛丼事業の売上高は前期比0.1%増の789億2,300万円でした。

関連のM&A速報