「後継者難倒産」が過去最多に 官民上げての事業承継支援策とは

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写真はイメージです

超高齢化社会が訪れ、雇用や医療、福祉などにさまざまな影響がでるとされる「2025年問題」が、中小企業の事業承継でも深刻化してきた。

帝国データバンクによると、後継者の不在や事業承継の失敗などが主な原因となり、事業の継続見込みが立たなくなったことによって生じる「後継者難倒産」が、2021年に466件発生し、調査を始めた2013年以降で過去最多を更新した。450件を上回るのは3年連続で、高水準の後継者難倒産が続いている。

経済産業省が、社長の高齢化や後継者難をそのまま放置すれば、2025年までに雇用とGDPに大きな損失が発生するとした試算が、現実味を帯びてきた格好だ。

このため官民をあげて事業承継問題に取り組む動きが活発化しており、帝国データバンクによると、2021年の後継者不在率は61.5%で、4年連続で低下し、調査を開始した2011年以降で最低となった。

それでも後継者不在率は6割を超えており、依然としてと高い水準にある。どんな事業承継支援策があるのだろうか。

M&A成功事例を紹介

中小企業基盤整備機構(東京都港区)は、各地で中小企業の事業引き継ぎのためのセミナーなどを開いている。2月10日に中部本部が、中部経済産業局と共催で、国の中小M&A推進計画を解説するとともに、円滑なM&Aに成功した経営者の事例を紹介する「中小企業M&Aフォーラム」をオンライン開催する。

中小企業でも有効活用できるM&Aを解説し、直近の政策トピックスについても取り上げるほか、M&Aに成功した企業の新、旧の経営者が、企業の売り手、買い手の立場から、経営者としての留意点やM&Aの勘所など披露する。

また、北海道本部は2月24日に、北海道経済産業局などと連携し「北海道事業承継シンポジウム」を札幌市内の会場とオンラインで同時開催し、親族内外の事業承継に関するさまざまな課題や解決策を紹介する。

中小機構は、中小企業や小規模事業者、ベンチャー企業などの成長を支援する国の政策実施機関で、事業承継をはじめ、人材の育成や資金の支援、ビジネスチャンスの提供などを行っている。

次世代の起業家を育成

後継者不在企業の事業承継を支援する Growthix Capital (東京都中央区)が運営するネクストプレナー協会(東京都中央区)は4月1日に、中小企業の後継者となる人材を育てるスクール「ネクストプレナー大学」東京校の第2期を開校する。

ネクストプレナーは、自ら起業するのではなく、すでに存在する企業を承継し、発展させる次世代の起業家で、既存の財産(従業員、顧客、保有資産など)を活用することで、企業の成長を目指す。

スクールでは座学や実地研修で、経営者に近い立場から物事を考えるスキルを付与したあと、実際に後継者不在企業とのマッチングを実施。事業承継が決まれば、Growthix Capitalが資金調達を支援し、経営者になるまでの道のりをトータルで支援する。

このほかにも多くのセミナーなどが実施されているが、2025年まで、あと3年。こうした支援策で後継者不在率はどこまで下がるだろうか。

文:M&A Online編集部

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