なぜグーグルの「フィットビット買収」は世界で警戒されるのか?

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ウェアラブルは「群雄割拠」から「一騎打ち」に

グーグルは検索や情報サービス、ネット広告といったコンテンツやアプリケーションでは世界最大手だが、ウェアラブル機器などのハードウエアでの存在感は小さい。モバイル医療サービスへ本格参入するにはウェアラブル機器というハードが必須で、メーカーであるフィットビットの買収は必須だった。

一方、フィットビットはカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く、スマートウォッチなどのウェアラブル機器メーカー。3月10日に発表されたIDCレポートによると、フィットビットは2019年の出荷台数で世界5位の大手だ。しかし、業界トップの米アップルをはじめ、中国のシャオミ(小米科技)、韓国のサムスン電子、中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術有限公司)など総合ITメーカーとの厳しい競争で苦戦している。

フィットビットの2019年シェアは前年の7.8%から4.7%に低下、出荷台数成長率も前年値の14.8%から7.8%に鈍化している。そこでIT最大手のグーグルに身売りし、同社ブランドとしてウェアラブル機器市場での生き残りを図ることにした。

ウェアラブル機器世界シェア (IDC調べ)
企業名 2019年シェア 2018年シェア 増減(ポイント)
アップル(米国) 31.7% 27.0% 4.7
シャオミ(中国) 12.4% 13.1% -0.7
サムスン(韓国) 9.2% 6.9% 2.3
ファーウェイ(中国) 8.3% 6.3% 2.0
フィットビット(米国) 4.7% 7.8% -3.1
その他のメーカー 33.7% 39.0% -5.3

グーグルがフィットビット買収を完了してモバイル医療サービスに乗り出せば、アップルにとっては大きな脅威となる。なぜなら業界上位のシャオミ、サムスン電子、ファーウェイが製造・販売するウェアラブル機器の「母艦」となるスマホは、いずれもグーグルのアンドロイドOSを搭載する。グーグルが参入することで、モバイル医療サービスは現在の「群雄割拠」からスマホ市場同様の「アップル対グーグル陣営」の一騎打ちになるからだ。

文:M&A Online編集部

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