なぜグーグルの「フィットビット買収」は世界で警戒されるのか?

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コロナ禍で広がったモバイル医療の可能性

グーグルがフィットビットを買収した理由は広告収入だけではない。それ以外にも大きなビジネスチャンスがあるからだ。モバイル医療サービスがそれ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、モバイル機器を利用した健康管理や情報収集が注目されている。これまでは特例としてしか認められなかった遠隔(リモート)診療も本格解禁となった。ウェアラブル機器で収集した健康データを元に、スマートフォンやタブレットで医師の問診を受け、適切な治療や投薬の指示を受けるサービスも現実のものとなりつつある。

厚生労働省所管の独立行政法人医療品医療機器総合機構(PMDA)は5月25日、アップルを「医療機器外国製造業者」に追加した。同社のウェアラブル端末「Apple Watch(アップルウォッチ)」の第4世代モデル以降に実装されている、心電図(ECG)機能が日本でも使えるようになりそうだ。すでに同機能が利用できる海外では心電図の異常を察知したアップルウォッチが緊急連絡先に自動通報し、意識を失っていたユーザーが病院へ緊急搬送されて事なきを得たケースもある。

日本でもアップルウォッチの心電図(ECG)機能が使えるように(同社ホームページより)

ナノティス(東京都渋谷区)が開発したマイクロ流体チップをなめて、スマホのアプリで撮影すると1分以内に検査結果が表示される感染症検査キットなども登場しており、「24時間365日、いつでもどこでも受診できる」モバイル医療サービスの市場の成長期待は大きい。医療機関にとっても手間に見合うだけの診療報酬を得られるのであれば、省力化や接触による感染リスクを減らせる遠隔診療は大歓迎だろう。

健康と医療という人類にとっては必須で、しかも「最もカネを惜しまない」ビジネスだけに、特定企業の独占、とりわけ外国企業による囲い込みは、どの国の規制当局も看過できないだろう。ましてや自国民の「健康状態」が外国企業に「筒抜け」となると、プライバシー保護はもちろん安全保障上の脅威にもなりかねない。世界中の規制当局が同合併に疑惑の目を向けるのも当然だ。

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