不動産・ホテル事業のユニゾホールディングスが打ち出した従業員による買収(EBO)の行方が混とんとしている。EBOは昨夏から続くTOB株式公開買い付け)をめぐる一連の騒動に終止符を打つための乾坤一擲の策。ところが、ユニゾ株価は買付価格の5100円を上回る高値で推移しており、空振りのおそれが出ているのだ。

買付期間の2月4日が迫る

現状のままでは2月4日に迫った買付期間の延長が避けられず、事と次第では買付価格の引き上げを検討することになりそうだ。

ユニゾ従業員と米投資ファンドのローン・スターが出資する新会社「チトセア投資」(東京都中央区)はユニゾに対し、EBOを目的とするTOBを昨年12月24日から始めた。全株式の取得(最低でも3分の2以上)を目指しており、買付代金は最大1745億円。ユニゾ株の買付主体であるチトセア投資はユニゾ従業員が73%、ローン・スターが27%を出資して設立した。買付資金はローン・スターが支援する。

ユニゾをめぐっては別のTOBが同時進行中。ソフトバンクグループ傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループによるTOBが昨年8月から現在も続いているが、EBOに際してはユニゾ株の買付価格としてフォートレスより1000円高い5100円を提示した。

市場価格が買付価格を上回る高値圏

だが、ユニゾ株価はEBO公表を受け、現在まで買付価格を上回ったままで、1月28日の終値は30円高の5190円。多くの株主にとってはTOBに応募するよりも、市場で売却した方が儲けを期待できる状況にある。引き続き、現行の株価水準でもみ合う展開が続くようであれば、予定通りに買い付けることは極めて困難だ。

実は、対ユニゾTOBで市場価格が買付価格を上回る高値で推移するのは今回に限ったことではない。

ユニゾをめぐるTOB合戦が始まったのは昨年7月にさかのぼる。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的TOBを仕掛けたのがきっかけだ。この敵対的TOBが進行中の8月半ばに、ユニゾの支持を得て友好的買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げたのがフォートレスで、フォートレスはHISの3100円を上回る4000円(昨年11月に4100円)の買付価格を提示した。

HISのTOBが不成立(応募者ゼロ)に終わったのも、主因は市場価格の急上昇。4100円を提示するフォートレスも同様に、現状ではTOBの成立が全く見通せない。フォートレスのTOBに対しては昨年9月、ユニゾが当初の賛成を撤回。その後、ユニゾが最終的にEBOを選択する二転三転の展開となっている。

昨年来、TOB不成立が広がる

HISのケースだけではなく、買付価格を上回る市場価格の高騰を理由としてTOBが不成立に終わるケースは昨年来広がっている。

中堅印刷業の廣済堂が米投資会社と組んでMBO(経営陣が参加する買収)の一環としてTOBを実施したが、不成立に。廣済堂に対しては旧村上ファンド系の南青山不動産が対抗TOBの形で参戦したが、こちらも市場価格の高騰で不成立に終わった。

米フォートレスによるTOBの買付期間も現時点で、EBOと同じ2月4日まで。すでに半年以上のロングランとなり、“劇場化”した感のあるユニゾTOBだが、幕が下りるのはいつになるのか。

◎ユニゾホールディングスの株価(終値)推移

日付株価出来事
2019年
7/102390円HISがTOBを公表(買付価格3100円)
7/112890HISがTOBを開始
8/164165円米フォートレスがTOB公表(買付価格4000円)
8/234335円HISのTOB期限
9/274510円ユニゾ、米フォートレスTOBへの賛成を撤回
11/154970円米フォートレスが買付価格を4100円に引き上げ
12/245190円EBOを目的とするTOBを開始(買付価格5100円)
2020年
1/65140円新年の取引初日
1/285190円前日比30円高

文:M&A Online編集部