中華料理レストランを展開する東天紅<8181>が4期ぶりに最終赤字に転落する。同社は2020年1月14日に2020年2月期の業績予想を下方修正、当初の黒字から営業、経常、当期のすべての段階で赤字に陥ることになった。
当初、業績は計画通りに推移していたものの、9月以降の悪天候の影響で売り上げが落ち込み、赤字転落が避けられなくなったという。
次期以降の見通しについては明らかにしていないが、同社では2019年5月に公表したコーポレートガバナンスに関する資料で、中期経営計画の策定を検討中としており、今後3年後の業績見通しなどが出てくる可能性は高い。
また同社はこれまでM&Aに関する適時開示は一度もなく、同社のホームページでもM&Aに関する記載はない。M&Aによって業容を拡大する外食企業は少なくないだけに、中期経営計画には成長戦略としてのM&Aについて触れられる可能性もありそうだ。
東天紅の2020年2月期の売上高は、当初の71億円(前年度比2.1%増)から4.2%減少し68億円(同2.2%減)にとどまる見込み。営業損益と経常損益は当初の1億円の黒字から5000万円の赤字に、当期損益も5000万円の黒字から7000万円の赤字に転落する。
2020年2月期第3四半期は、宴会などの需要を取り込むために訪問セールスに加え、インターネットやスマートフォンによる販促を強化したほか、アンチエイジングをテーマにしたフェアの実施などにより、上期(2018年3月-8月)の業績は計画通りに進んだ。
しかし、9月以降に台風や豪雨の影響で宴会などのキャンセルが相次ぎ、さらに婚礼数の減少などが加わったため売上高が落ち込み、これに伴って利益も大幅に減少。第4四半期に当初計画を大幅に上回ることが難しいため、通期の業績予想を達成することが困難になった。
東天紅は1961年に東京・上野の不忍池のほとりに東天紅の一号店を開業。その5年後の1966年に地上8階、地下2階、客席総数3000席という大規模な中国料理店に改装したあと、1968年には多店舗展開を始めた。
さらに1992年には日本料理レストラン一号店の海燕亭上野店をオ-プンするなど、多角化にも着手。現在は婚礼事業なども手がけており、秋田県から兵庫県までに20店舗を展開している。
多くの外食産業が新業態を開拓する手段としてM&Aを活用し成果を上げている現状がある。赤字脱却を目指す同社の今後の戦略が注目される。
年 | 東天紅の沿革 |
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1961 | 中国料理レストラン東天紅上野本店をオ-プン |
1961 | 日本で初めての中国料理バイキングを開始 |
1966 | 上野本店を増改築。地上8階、地下2階、客席総数3000席に |
1968 | 多店舗展開をスタート |
1978 | 東京証券取引所市場第二部に上場 |
1984 | 東京証券取引所市場第一部に上場 |
1992 | 日本料理レストラン一号店 海燕亭上野店をオ-プン |
2015 | 上野本店を建て替え |
文:M&A Online編集部
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