2.後継者選定後の留意点

(1)株式・財産の分配

 株式が多数に分散している場合は株式の買い取りを行い、後継者に株式を集中させることで、経営権を確保することが重要です。また、後継者以外の親族や相続人に対しては、不動産等の財産を分配するなどの配慮を考える必要もあります。

 従業員などの親族外に承継する場合、会社の株式や財産を受け取るための資金力があるかどうかを確認しておくことも大事です。その場合の資金調達の方法としては、金融機関からの借り入れ、後継者候補の役員報酬の引き上げ、経営承継円滑化法に基づく金融支援の活用などがあります。

(2)個人保証・担保の整理

 会社の代表に就任すると、金融機関から保証人や担保を求められるなど、多大な責任が生じます。会社としては、事業承継に先立って債務の圧縮や金融機関との交渉、責任に見合った役員報酬の増額などを図ることで、後継者が抱える負担をできるだけ軽減することが大事です。

(3)親族との話し合いや関係者への理解

 事業承継の際に起こる問題のひとつに、親族内に会社を継ぐ者がいなかったので従業員または外部関係者に承継したところ、後になって親族が「やっぱり継ぎたい」と言い出し、揉めることがあります。このようなことにならないためには、経営者は、事業承継を行う前に親族とよく話し合い、親族内に本当に後継者がいないかを十分に確認しておくことが重要です。

 また、後継者の年齢が若い場合、中継ぎとして、別の者に承継することがあります。この場合、経営者、親族、中継ぎを受ける者がよく話し合い、経営権の範囲、役員報酬の設定、中継ぎ期間などを十分に決めておくことで、中継ぎ後の承継で争いが起きないようにしておくことが大事です。

そして、事業承継を円滑に進めるためには、社内の役員や従業員、社外の取引先や金融機関に代表交代の時期や事業承継の進め方を説明し、関係者から納得と理解を得ておくことも必要です。