【相続】遺言の種類

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遺言の種類

遺言は、遺言者の最終意思を死後に、実現するための大切な手続きです。
遺言は、大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言に分けられます。

普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類あり、特別方式遺言は、一般危急時遺言、難船危急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船遺言と4種類があります。

どれも要件があり、その要件を満たしていない場合は無効になる可能性があるので注意が必要です。その他、意思能力が無いものが遺言をした場合、公序良俗に反する場合、錯誤の場合、共同遺言の場合、被後見人が後見人やまたはその配偶者、もしくは直系卑属の利益となるような遺言をした場合も無効です。ただし、直径血族、配偶者または兄弟姉妹が後見人である場合は無効になりません。

今回は、よく使われている普通方式の遺言についてまとめてみましたのでご参考にしていただけたら幸いです。

◆自筆証書遺言

(要件)
①遺言の全文及び日付および氏名を遺言者自身が自書し押印。
②遺言者の最後の住所地を管轄とする家庭裁判者に検認の申立てを行い検認を要する。
※検認手続とは相続人に対して遺言の内容を知らせ、遺言書の偽造や変造を防止するための検証、証拠保全手続である。有効か無効かを判断する手続ではない。

(メリット)
①遺言の作成を自身で簡単にでき費用が発生しない。
②遺言の内容を誰にも知られないようにできる。
③保管方法を自身で決められる。
④証人という第三者を要しない。

(デメリット)
①遺言者の死後、発見されない可能性がある。
②偽造や変造される可能性がある。
③内容を誰にも知られずに作成できるため内容が不明確であったり解釈や遺言の効力について争われる危険性が高い。
④家庭裁判所の検認手続を行う必要がある。
⑤方式に不備があり無効になる可能性がある。

◆公正証書遺言

(要件)
①証人2人以上の立会が必要。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する。
③公証人が、遺言者の口授を筆記し、遺言者および証人に読み聞かせ、もしくは閲覧させる。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に変えることが可能
⑤公証人が、その証書は方式に従って作成されたものであることを付記して、これに署名、押印する。

(メリット)
①公証人が内容まで関与するため偽造や変造のリスクが少なく遺言の効力を争われるリスクが少ない。
②家庭裁判所での検認手続が不要のため、迅速に遺言を実現するための作業に入ることができる。
③遺言書の原本は公証役場にて保管されるため隠匿または破棄されてしまうリスクがなく、万が一破棄された場合でも、原本の謄本をいつでも請求することができる。尚、日本全国の公正証書遺言がオンラインにて一元管理されるようになり、遺言者の死後にどの公証役場に照会をしても公正証書を残していたかを確認することができるようになっている。

(デメリット)
①遺言内容が証人や公証人に知られてしまう。
②手続が面倒で公証人へ支払う費用が発生する。

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