最近では事業を後継者に引き継ぐタイミングで、無議決権株式や拒否権付株式(黄金株)といった種類株式を導入する株式会社も増えてきています。
株式の多くを議決権がない株式とし、事前に後継者にそれらを取得させる。自身の保有株式は少なくなりますが、議決権割合を高く維持することで経営の実権は握り続けることができます。
自身が拒否権付株式を保有することで、基本的な経営の実権は後継者に譲りつつも、株主総会に付議された議案についての拒否権があることで影響力を残すことができます。
ただし、これらは種類株式であり登記事項となりますので、誰でも閲覧ができる登記簿謄本に記載されることになります。
従って取引先等が登記簿謄本を取得すればその種類株式の存在がわかってしまうため、後継者に実質的な決定権がないと思われてしまう場合があります。
一方で、定款の規定により議決権を制限できるのが属人的株式となります。その株式会社の発行する株式の全てに譲渡制限が付いていることや、属人株を設定するための決議要件等をクリアすることが必要ですが、登記簿謄本には記載されずに議決権を制限できます。
また、種類株式であれば、一度発行すると持ち主が変わってもその特性は存続し続けますが、属人的株式は名前の通り特定の人に属する定めであるため、持ち主が変わればその特性はなくなります。
このように、種類株式や属人的株式はそれぞれメリット・デメリットがありますが、上記以外の種類株式を組み合わせる等して、現状に合わせた対策を取ることができます。
そもそも後継者が見つからない場合は事業を売却するという選択肢もございますので、事業の売買に関してマッチングも行っております。
弊事務所では、事業承継に関する複合的なご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
Vol.128 2018.02.01 メールマガジンより転載
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創業1975年。司法書士、行政書士、弁護士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、不動産コンサルティングマスターなど、各種専門家によるリーガルワンストップサービスを全国展開する「東雲グループ」の中核事務所。