「GoToトラベル再開」で観光関連株値上がり、リスクは?

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観光業者は「GoTo トラベル再開」に期待する(写真はイメージ)

リスク2 「コロナ後」の行動変容

コロナ禍で消費者の行動が変わり、旅行需要は元に戻らないのではないかとの指摘もある。最も懸念されるのは2019年度に全旅行市場の17%を占め、個人需要に比べて利益率が高い法人需要の回復だ。

2020年度の法人税は11兆2000億円と想定よりも3兆2000億円、前年度を4000億円ほど上回った。コロナ禍にもかかわらず、企業の増益決算が増えたためだ。その理由として企業の販売管理費の削減があり、これに出張の交通費や宿泊費といった旅費交通費も含まれる。コロナ禍で出張を中止したが、売り上げや業務遂行への支障がなかった企業も少なくない。

こうした企業では「コロナ後」も出張を増やさない可能性が高い。「GoTo トラベル」で個人需要が増加しても、利益率の高い法人需要が持ち直さない限り、旅行事業者の業績は厳しい状況が続きそうだ。

リスク3 企業間格差の拡大

前回の「GoTo トラベル」では上限はあるものの、旅行代金の35%を割り引き、観光地の飲食店や土産物店で利用できる15%分の割引クーポン券を付与した。その結果、個人客が「高い料金の宿を使ったほうがお得」とばかりに高級旅館やホテルに殺到。コロナ禍で経営が厳しい中小の宿泊施設に恩恵がなかったとの指摘もあった。

「GoTo 2.0」で中小宿泊施設に恩恵はあるか?(写真はイメージ)

岸田総理は「GoTo 2.0」で中小宿泊施設の割引率を引き上げるなどの優遇策を検討している。しかし、割引率は引き上げられても、割引額そのものは高級旅館やホテルの方が大きい。「せっかく割引があるのだから、高級宿に泊まろう」と考える消費者も多いだろう。

さらに、広告宣伝やキャンペーンなどの販売促進費も大手の方が潤沢にある。経営が厳しい中小旅行業者にとって、「GoTo トラベル」が十分な救済策になるどうかは制度設計次第だ。よほど中小宿泊施設に有利な条件にしない限り、大手と中小の観光業者間で格差が拡大することになるだろう。

文:M&A Online編集部

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