売却を経験すると、経営者としての「目線」が高くなる

ー起業のターゲットとする領域は。

ITサービス関連。ある程度土地勘もあるからだ。得意領域で効率的、体系的、組織的にスタートアップを生み出すためのモデルをつくっていきたい。それによって、売却というゴールに向けての再現性が高められると思っている。

ー起業家“予備軍”は大勢いますか。

就職したものの、いつか起業したいという人は結構いる。ところが、資金やアイデア・ノウハウの制約などで踏み切れない。家庭があれば、リスクをとりにくい。スタートアップスタジオなら起業へのチャレンジを実現できる。いわば、スタートアップの社長に転職するイメージだ。

社長の年収は保証する。株も一部持ってもらうので、バイアウト時にキャピタルゲインを得られる。たとえ事業が失敗してもリスクはほとんどない。

ー日本経済の再活性化のうえでスタートアップへの期待が高まっています。

小さいビジネスをいくつも作って意味があるのか、社会の変革に資するような事業に投資するのがVCの役割ではないのか、といった指摘があるかしれない。そうした向きには会社を売った経験がありますかと問い返したい。

会社を売却すると信用力が高まり、資金も人材も集まってくる。次の起業がやりやすくなる。経営者としての目線がぐっと高くなる。ひいては日本経済にもメリットが大きいことは間違いない。

〇柴田 泰成さん(しばた・やすなり)

2006年楽天に入社し、アドネットワーク事業やクーポン事業など新規事業の立ち上げに携わる。12年にリクルートに移る。13年5月、インキュベイトファンド主催のピッチコンテスト「Incubate Camp5th」で優勝。同年7月にスタートアップを支援する投資ファンドを設立。18年5月に「ファンド主導による起業」と「ゼロからの共同創業」を掲げ、新たにソラシードスタートアップスタジオを発足した。

1983年生まれ。名古屋市出身。明治大学経営学部卒。

文・聞き手:M&A Online編集部  黒岡 博明