中小企業の支援ニーズで見えてきた展望とは

新型コロナウイルスの感染拡大が、あらゆる経済活動に影響を与えている。大手を含む事業者の多くは、資金繰りなどの厳しさに耐えながら生き残りを模索している。一方、将来の需要回復を明確に見通せない中で、中小企業にはM&Aの活発化を予感させる動きも見えつつある。

中小企業の8割が窮状明かす

中小企業基盤整備機構が4月27~30日、全国の中小企業2000社に実施した「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」によると、全体の79.2%の企業が「マイナス業績が発生している」、あるいは「発生する見込み」と窮状を明かした。

自社が必要とする支援は「休業・事業損失への補償金」(33.3%)、「無利子・低利融資」(33.0%)と、当座の資金充当を望む声が多かった。

起業・創業より高い、事業承継・引継ぎ支援ニーズ

その半面、「事業承継・引継ぎ」の支援ニーズの高さも目を引く。5.8%という割合は「起業・創業」(3.2%)、「海外販路拡大」(2.6%)、「窓口・オンライン上の個別相談」(1.7%)などを上回る。

実際、今回の調査対象だけを見ても、ゆうに100社を超える中小企業が次世代へのバトンタッチを考えていることになる。さらに、事業活動面の対策でも「事業自体の休廃業」と「事業自体の譲渡」が挙がった。

いずれも「現在取り組んでいる」と答えた割合がそれぞれ6.7%、1.1%だったのに対し、「今後取り組む予定」とした割合は6.8%、1.9%に増えた。業況の先行きが見えない中、事業の休廃業や譲渡を視野に入れている経営者が存在する事実を物語っている。

休廃業抑制へ 政府も手厚い支援策

こうした中、政府も新型コロナの緊急経済対策をまとめた2020年度補正予算に総額100億円もの事業承継支援策を盛り込んだ。第三者承継時の経費を負担する新たな補助金制度や官民が出資する全国ファンドの創設などを推進し、M&Aを活用した経営資源の承継を後押しする。

資金繰りなどで疲弊した中小企業に再編の波が押し寄せる事態も予想される中、政府が打ち出した手厚い支援策には、休廃業を抑制する環境を整える狙いがある。

今回の調査結果で明らかになった事業承継の支援ニーズなどは、まさにそうした再編の波の兆候と受け止めることもできる。アフターコロナを見据えた経済再開のビジョンが鮮明さを増していけば、国内M&A市場の成長も加速することになりそうだ。

文:M&A Online編集部

関連リンク 新型コロナウイルス感染症の中小・小規模影響調査の結果公開について