被保険者を孫や子供にする|生命保険を活用したM&A出口戦略(4)

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写真はイメージです…「こどもの日」が間近に

M&Aの売却金をそのままにしておくと、相続の時に多額の税金が取られることになってしまう。現預金には何の控除もないからだ。しかし、生命保険を利用することによって相続税対策をすることができる。生命保険を利用した相続税対策には様々なスキームがあるが、今回は「被保険者を孫や子供にするスキーム」について説明する。

どんな契約スキーム

被保険者を孫や子供にするスキームの契約形態は、 以下のようになる。
・契約者:本人(相続対策が必要な人)
・被保険者:孫や子供
・死亡保険金受取人:本人

この形態で生命保険を契約した場合、本人に万がーのことがあると保険の契約を孫もしくは子供が引き継ぐことになる。

相続発生後の保険の契約形態は以下のようになる。
・契約者:孫や子供
・被保険者:孫や子供
・死亡保険金受取人:孫や子供の配偶者などの家族

なぜこのスキームが相続対策になるかというと被保険者が孫や子供で保険契約者が本人の場合、生命保険の相続税評価額は、「解約返戻金」になるからだ。 

低解約返戻金型の終身保険を活用

保険商品の中には、契約してから一定期間は 極端に解約返戻金が低い商品がある。 このタイプの保険を低解約返戻金型の終身保険という。 低解約返戻金型の終身保険には、契約してから10年程度の解約返戻金が40%~ 70%程度の商品がある。また低解約返戻型の終身保険は、低解約返戻期間が過ぎると、解約返戻金が100%に急上昇することが一般的だ。

つまり低解約返戻期間中に相続が起これば、相続税の対策をすることができ、相続した孫や子供が、その後も保険料を払っていけば、解約返戻金が 100%になったタイミングで解約できるのだ。

低解約返戻金型の終身保険は保険料の払い込み期間を10年程度にすることができる。 払込み期間が終われば解約返戻率が100%を超え、その後は毎年1%程度増えていく商品が一般的だ。

相続した孫や子供は解約返戻率100%を超えても解約する必要がなければ、そのまま保有し続ければお金はどんどん増えていく。結婚資金や住宅購入資金などに充てられる。 相続税対策と子供や孫の将来の資金を貯めることができるので、非常に効果的な方法であるといえるだろう。

非課税枠とは別に利用できるメリットも

また低解約返戻期間中に契約者に万が一のことがなく元気であった場合は、解約返戻金が100%の段階で解約をしてまた新たな低解約返戻金の保険に入ることもできる。つまりこのスキームを利用するデメリットは特にないのだ。

唯一の注意点は、相続が発生した後に、子供や孫が保険料を支払うことができなくなる可能性があること。しかし、遺言などで事前に保険料の分を子供や孫に遺すようにしておけば問題はない。このスキームは、生命保険の非課税枠(500万円)とは別に利用することができることも大きなメリット。少しテクニカルな方法ではあるがメリットの大きい相続対策になるのでぜひ検討してみてはいかがだろうか。

今回の記事のポイント
▽保険の相続税評価額は、解約返戻金になるので解約返戻金が低い間に万が一のことがあると相続対策になる(低解約返戻型の保険の返礼率は40%~70%程度が一般的)
▽保険を引き継いだ孫や子供は一定期間保険料を払えば、解約返戻金は 100%を超える
▽解約返戻金は100%を超えた後も年1%程度増える商品が多いので子供や孫は将来のためにお金を貯めることができる
▽生命保険の非課税枠(500万円)とは別に利用することができる

文:M&A Online編集部

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