前回までに、仁/義を実行するために「礼」があり、行動を決定づけるのが「信」であり、いずれも学問によってアップ・トゥ・デートしていかなければならないという話をしました。これを、企業の活動で考えてみましょう。

 たとえば「国産の原料しか使わない」と決めたとき、気候変動や災害によってたまたまその年は国産の原料が揃わなかったとします。仁として国産にこだわることは正しいのかもしれませんが、そもそも生産ができない、製品が作れないのでは本末転倒です。

 この事態で、ただ呆然としてなにもしない経営は完全にアウトでしょう。いわゆる思考停止状態です。仁(ミッション/ビジョン)を思考停止の理由にするのはおかしいですよね。むしろ、仁に基づいて思考を促進していかなければなりません。

本来の「仁」はどこにあるのか

 そもそも「国産の原料しか使わない」のどこが仁なのか。具体的な行動を示しているので、義(ウェイ)を含んでいます。ここで学問が必要になります。学ぶことです。

 これにより、本来あるはずの「仁」は「国産の原料しか使わない」といったことではなく、「自国の繁栄とともに成長する」ことであったのかもしれず、また、義としては「安心・安全な原料しか使わない」ことにあったのかもしれないことに気づくかもしれません。

 こうして考えれば、自分たちの根本的な考えを根底から覆すのではなく、むしろより核心に近づくはずです。

 その結果、国産原料を復活させるための活動を進めつつ、世界各国で同じように「安心・安全」な原料はないか探し、まったく同じものではないにせよ、国際仕様の新製品を提供する、といった方向が考えられます。このように、自分たちの「ミッション/ビジョン」に沿っているかチェックしながら、思考停止に陥らないように進めていくことが大事なのです。