弁護士になるための勉強法(第1回)
「司法試験に合格して弁護士になりたい」
最近では司法試験の合格人数が一時期よりも減らされて、合格が難しくなりつつあります。その反面、合格後の環境は非常に良くなってきているので、資格取得を目指したい方も増えてくるでしょう。
司法試験に合格するために必要なものとしては、記憶力や集中力、勉強を継続できる環境、体力、健康状態などいろいろな要素があります。
それだけではなく、意外と「理系的思考」が重要です。
筆者は合格率が3%程度であった旧司法試験に、大学4年の在籍時に短期合格しています。試験制度は変わりましたが、今でも司法試験合格に必要な要素は根本的には変わっていないと思います。
そこで以下では筆者の経験から、なぜ司法試験で理系的思考が必要となるのか、またその身に付け方をご説明していきます。
司法試験を受ける方は、ほとんどが法学部を卒業しています。法学部は文系の学部ですから「数学が苦手」という方も多いでしょう。理系の科目がなるべく出題されない私立の法学部に入学された方もいると思います。
しかし法律の勉強には「理系的思考」が要求されます。
たとえば法律では「三段論法」という積み重ねの理屈が重視されます。まずは定義があり、一般的な抽象理論があり、それを具体例にあてはめることによって結論を出していきます。
たとえば刑法を勉強するときには、「構成要件」や「違法性」「故意」という条件について、1つ1つ抽象論を組み立てて具体的当てはめを行うことによって犯罪の成否を検討します。
このとき「被害者がかわいそう」「加害者は悪いやつ」などの情緒的な判断で結論を出すことはありえません。そのような主観的な対応をすると、法律が不公平なものとなって法治国家としての機能が失われます。
ときには抽象論を機械的にあてはめることによって一般の感覚とは異なる結論が導き出されてしまうケースもありますが、「それが現行法の考え方であれば仕方がない」ということになります。不都合があれば法解釈を変更するか、法律を改正する必要があります。
このように、抽象論を組み立ててあてはめをする法律の思考方法は、あたかも数学の公式を作って課題にあてはめて解を出していくのと同じです。
数学の場合にも、抽象的な考え方(公式や計算式)があり、それを具体的な事例にあてはめて結論としての解を導き出します。こうした論理的な思考が苦手、という方は、法律の勉強も難しく感じるでしょうし、合格からも遠のきがちです。
司法試験と言えば、「暗記」が重要と思われがちです。一般的には「弁護士は法律を全部暗記している」「六法全書を全部覚えたら司法試験に受かる」などと思われているケースも少なくありません。
確かに暗記が重要であることは間違いではありませんが、それだけでは司法試験合格は困難です。法律の条文や各論点における対立説、判例などをすべて暗記したとしても、試験に落ちる人はいます。丸暗記したそのままのケースが出題されれば良いかもしれませんが、現実には論点がそのままというよりも、その場で論理的思考力を問われる問題が出題されるケースが多いからです。
暗記だけではなく、出題された課題に対し、自分の頭を使って論理的に結論を導き出す力、応用力を要求されます。
今回は、公認会計士試験の攻略法をみていく。現行の会計士試験には、「短答式試験」と「論文式試験」があるが、合格するには同じアプローチではだめだ。