論文式試験「選択科目」の勉強法|公認会計士になるための勉強法(11)

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公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。

論文式試験の「選択科目」とは?

今回は、論文式試験のみの科目である「選択科目」について見ていきたい。現行の論文式試験には、「経営学」、「経済学」、「民法」、「統計学」の4科目の中から、1科目選択して受験する。

ほとんどの受験生が「経営学」を選択するが、その選択は正しいと思う。短期で合格したいと思っている受験生であれば、なおさらだ。

なぜなら「管理会計論」と「経営学」は、学問として重なる部分が多いからだ。「管理会計論」の管理会計の部分と「経営学」の意思決定や企業価値評価の部分は、同じような論点になっている。

筆者が受験した「統計学」とは?

大部分の受験生が受験する「経営学」について書きたいのだが、筆者は「統計学」を選択したので、今回は「統計学」の勉強法について解説する。

実は「統計学」は、記述式の論文式試験において唯一、ほぼ100%計算問題という、非常に珍しい科目である。

「統計学」は、他の科目と全く関係ないように見えるが、実は他の科目とも非常に関連性がある。内容は、「経営学」や管理会計の部分と近く、「経済学」の内容も一部含んでいる。重なる部分としては、経営分析や資産価値評価などであるが、一切記述をさせないことで、理論を除き、計算部分だけを抽出した科目となっている。

また、「会計学」の金融商品に出てくるオプションの評価なども「統計学」の試験範囲だし、「監査論」のランダムサンプリングにおける数値の処理方法などの「統計」の部分も当然、試験範囲に含まれている。

「統計学」の勉強方法とは?

意外かもしれないが、「統計学」は暗記しなければならないことが非常に多い。数式など、覚えないとならないことが本当にたくさんある。逆に言えば、覚えていれば、書ける問題がいくつかあるということである。

筆者の受験生時代のノートより。論文式試験直前期の、科目全体の見直し点ややるべきことについて、書いている。

記述がないので気楽だと思っていたのだが、暗記の負担が大きかったのが想定外だった。勉強法としては、暗記は直前期にするとしても、とにかく計算問題を繰り返し解くことと、過去問を何度も解くことが重要になってくるだろう。

なぜ「統計学」を選択したのか?

「統計学」を選択する人は少数派なので、「なぜ統計学を選択したのか?」とよく聞かれる。「経営学を選択した方が楽だったのに」、と言われたら返す言葉もないが、筆者は「統計学」を選択してよかったと思っている。

まず一番の理由は、「統計学に興味があるから」である。落ちこぼれではあったが、高校まで理系のクラスにいたことが大きいかもしれない。実際に、会計士試験の受験科目の中では一番好きな科目だった。しかし試験の性質上、合格のためには好きな科目に時間をかけすぎないことが重要なので、「統計学」にあまり時間を取り過ぎないように気を遣ったつもりだ。

筆者の受験生時代のノートより。論文式試験から登場する、租税法と統計学の勉強内容について書いている。「この2科目は相当やらないとマズいよ。」と書いているが、それが5月まで短答式試験の勉強に重点をおいていた受験生(筆者)の本音。

二番目の理由は、戦略的理由からである。筆者にとって、公認会計士試験は「普通にやっていても合格できない試験だ」と思っていた。他人と違うことをやらなければ、と思っていた。

公式ではないのかもしれないが、いわゆる「上位10校」という公認会計士合格者の出身大学ランキングがある。私の出身大学はこの10校に入っていない。加えて合格者の統計を見ると、「30代」の合格者数も、「女性」の合格者数も決して多いとは言えなかった(今でも同じだと思う)。

「上位10校に入っていない大学出身」「30代」「女性」の合格率をかけあわせた結果、統計学的に、筆者が合格する確率は非常に低い。そのためリスクを取り、ボラティリティを高めなければ、合格のチャンスはないと思っていた。結果、論文式試験の「統計学」では、2桁の順位で全体の偏差値を押し上げることができた。統計学に少しでも興味がある人は、ぜひ「統計学」に挑戦して欲しい。

文:細田 聖子(公認会計士・税理士)

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